北海道・札幌発・だべさ通信5

窓ふきスパイダーマン

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婆ちゃんと病院の5階から外を眺めていたら、窓の外に下がっているロープが、ゆらゆらしている事に気づきました。
おや、なしたの? すると窓の上から二本の足が現れて、ポンとかろやかに壁を蹴りました。
お〜!!遠くの景色を見ていた目の焦点が、いきなりの近距離。現れたのはお窓ふきの兄さん達でした。

 

 

たった一本のロープに体を預けるなんて、おっかない。落ちたらどーすんだべねー・・と、ついつい無駄なセリフを婆ちゃんに投げかけました。
お兄さんはまず、洗剤のついた幅広のモップを使って、まるでクレープの生地を焼くように、スイスイと窓ガラスに横八の字を描きました。
それから、使い終えたモップを腰の七つ道具入にスポっと納めたかと思うと、手元も見ずに、今度はゴムのワイパーみたいなもんとをサっと抜き取って、白い泡の付いた窓をとても丁寧に、上からまっすぐ下に、今度は横からまっすぐ中央に、後戻りせずに拭いています。
洗剤は一滴残らず一つに集められ、仕上げは下に向かってモップを降ろすとまあなんと、オブラートが剥がれたみたいな透明の窓の出来上がりです。
最後にワイパーみたいなのをピ!っと一度振り下ろして洗剤を切ると、すぐに隣の窓拭きに取りかかりました。

 

 

すごいっしょ。おもしいっしょ。スパイダーマンみたいだべさ。
あら、あのモップにも、ワイパーみたいなもんにも、ヒモとかでちゃんとお兄さんと繋がっているわ。
そりゃそうだよね、もし道具を落っことしたら大変だもんね。へ~・・・・・
最後に雑巾でキュキュっと拭いています。あ、雑巾は繋がってないよ。もし落としたらどーすんだべね、落ちた雑巾でケガをする人はいないだろうけど、お兄さんが困るべさ。予備の雑巾持っているのかな。マジマジ・・・

 

 

ガラスを境に、お兄さんの前わずか数メートル。口を開けて見ていた私に、きっと仕事やりにくかったべね。
担当のガラスを拭き終わったスパイダーマンたちは、ロープをスルルっと降ろしながら、下の階に消えて行きました。

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