良子さんが温泉ホテルの新聞の切り抜きを持ってやってきました。
子供たちが成長してそれぞれが独り立ちした今、毎年1度は集まりたいと温泉旅行を計画しているんですと。
ずっと御主人とふたりで食堂を切り盛りしながら3人の息子さんを育て上げた良子さん。
お店をたたみ、やっと肩の荷を降ろしたところです。
彼女の携帯はガラ携だしパソコンも苦手なので、ホテルの詳しい情報が知りたいと、ネットの見られるウチにやってきたのでした。
どれどれ、切り抜きの温泉ホテルのホームページを開いてみましょう。
ここだね、おやいいんでないかい。
新聞の切り抜きにあったキャンペーンは確かに普段よりは安いようです。
でも「あれ? ねえ、こっちのプランの方がちょっと安いんでないかい?」
ネットで見つけたそれは早割りキャンペーンというもので、内容はほとんど同じで、良子さんが持ってきた新聞の切り抜きよりも、1人につき300円安い。
さらにサービスで人数分のビール一杯が付いているらしい。
良子さんはさっそくメモをとって
「帰って電話して予約しようっと!」
と嬉しそうに帰っていきました。
ところが、それからまもなく良子さんから電話が 。
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「もしもし、さっきのプランなんだけど、電話をしたら、あのプランはネットからの申し込みだけなんですって」
そうか、ネット価格だったんだね。
今やなんでもネットの時代。内容を打ち込めば手続きも簡単。けどさ、ホテルの公式ホームページに載っていた料金プランなのに、詳細を聞いて、それじゃあ予約をとお願いしたら、その価格で宿泊したい場合はネットから改めて申し込んでくださいとはワケわからない・・・・・
ここにきて、現代のシニアがかかえている問題、それは若者たちにとっては普通であるネットの世界観は、シニアにとってはワケのわからない空想にも似た世界であることが表面化したのである。
マックのカウンターでは若者たちがかっこよくスマホを見せ、電子クーポンで割引されたハンバーガーを買うのが当たり前。
ああそれなのに、クーポンを知らずに高い定価でハンバーガーを買わされている シニアたちのなんと多いことか。
さらには最近ちまたをにぎわせている○○ペイ。楽天ペイの方がポイントが貯まるだの、ペイペイのほうが取り扱い店が多いだの、マージャン用語にも似たその言葉はなんなのよ・・ とシニアは思うのでございます。
林家三ペイなら知っているけどさ。
見えない世界で、お金という概念が遠回りをすればするほど世の中が回る仕組みだということは、シニアには理解できないのです。
結局、彼女は明日、もう一度 私のパソコンから予約をすることにしました。
今度こそ、ポチっとやったるで!
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