PR
月に一度の婆ちゃんの検診日。
いつものように長い時間、待合室で呼ばれるのを待っていました。
「このあいだヨネさんが遊びに来たときさ、死んだ旦那のモモヒキいっぱい持ってきてくれてよ〜。いやあ、助かったわ。」
いっぱい・・・・・
とすると、婆ちゃんのズボン下の大半は爺ちゃん用モモヒキって事になるんでないかい。
「前んとこ縫って履いたら履きやすいもなあ。おらやっぱし男もんがいいもなあ」
私の複雑な思いとは裏腹に、婆ちゃんは嬉しそうです。
ゆったりサイズが好きな婆ちゃんに、このあいだ、ゆったりすっぽりのお年寄り用のズボン下を買ったところだったので、
『婆ちゃん、このあいだ買ったスボン下は履かないの?』
と聞いてみる。
返事は
「あれは、いたましいべさ(もったいないでしょ)、おらまだ履かないで とっとくんだ(とっておくんだ)」だと。
でもさあ・・・・
” アキヨさ〜んお入り下さい”
ハイ。
”アキヨさんこんにちは!それじゃあベッドの横になって下さいね〜、お腹もみますから、ズボン降ろしますよ〜〜”
!!も、もしかして、今履いているズボン下は・・・
お、おお〜〜・・・・・・
ちゃんと、女性用でした、2枚とも・・・
いかった。安堵・・・
『婆ちゃん、女性用のズボン下を履いてきたんだね』
そういう私に婆ちゃんは言いました。
「おらちゃんと今朝 取り替えたも」
そ、そうだよね、私の取り越し苦労だったのね。
「爺さんのモモヒキ、けさ汚しちまったからな」