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その角を曲がると、通行人に何やら配っている人がいる。
チラシ?ティッシュ?・・ティッシュだ。
数メートル前を歩いていた女性が、お兄さんから受け取ったのが見えたも。
ということは、このまま行くと私にもティッシュを手渡すかもしれない。
でも待てよ,私のすぐ前にはおじさんが歩いている。
お兄さんは当然おじさんにティッシュを手渡すにちがない。
私はおじさんのすぐ後ろを歩いているのだから、お兄さんが次のティッシュをカゴから取り出そうとしているうちに、私は あ・・・・・っと 通り過ぎてしまうかもしれないのだ。
べ、べつに、ポケットティッシュ1つの事ですから、どーって事はございません。
ございませんが、ここで足ふみなんかしたりして、おじさんとの距離を広げれば、もしやお兄さんが手早く次のティッシュをカゴから取り出す時間を稼げるかもしれないなんて、チラリと脳裏に浮かぶのはナゼだ。
でも、そんな事なんかできないわ、私、レディだもの。
仕方なく覚悟を決めて、ティッシュを受け取ってるおじさんの横を、見ないフリしてすり抜けたのであった。
したっけさ、
「ティッシュどうぞ」って、私の前に手が伸た。
傍にいたお姉さんが、ティッシュを手渡してくれたのだ。
え?!あら、・・・・
ラッキ〜!なんて顔はしない。顔の筋肉が緩むのを抑えて平常心を装うのだ。
しかし、そっとバッグにしまい込むとき、小さな幸せが、つい目を泳がせてしまう。
結局このあとは上機嫌が災いし、スーパーのカゴにはついついアレやコレやと入れてしまった。
私という人間は、採算の合わないレディなのだ。