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ガガガ〜!深夜を過ぎた頃、除雪車が近づいて来る音が聞こえてきた。
その音はしだいに頭の中がきしむように大きくなり、まもなくすると黄色いパトランプの灯りが、カーテンのすき間からチラチラと差し込み始めているのが見えた。
私はカーテンを顔の分だけ小さく開けてうかがってみたつもりだったが、その光はいきなりチカチカと私の顔をからかった。
今まさに、除雪のブルトーザーが我が家の前を通過するところだ。
ブルトーザーは雪を削り取りながら進むから、みるみるうちに石ころ状になった雪を道路の端にあふれさせていく。
ありがたい除雪ではあるが、ブルトーザーが通った朝は、削られた硬い雪が、まるで大雪山連邦のように連なって(気持ちでそう見える)家の前に出現する時もあるのだ。
昨日ハッチャキで(がんばって)雪かきした家の前が、これでまた、元のもくあみになってしまうのか。
雪を置いていくなよ~、いくなよ~。
ガガガ~~!!
念力、トリャ~~~!
ブルトーザーが家の前にさしかかったとき、私は念力によって、雪を押すハイド板の向きを、スーっと道路の内側に変える事に成功した。
それから一旦ブルトーザーを止めてバックをさせ、再びトリャ~~~!っと、今度は道路に残った雪をまっすぐ押して、家の向こうの方にと押しやったのだ。
これで家の前には多少の雪が残っただけにとどめる事ができた。
前日までの雪かきによって生じた足腰の痛みに比べれば、こんな事くらいはヘのカッパさ。
ブルトーザーの運転手さんは、実は、私の念力によってハイド板を操作させられていた事など、気づくよしもなかったのである。