北海道・札幌発・だべさ通信5

突然現れたのは美女か人さらいか

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駅まで下る坂道は雪でザクザク。
歩きやすい所を選びながら右に左にと歩きます。
私の前にも赤ちゃんを抱っこした若いお母さんが、買い物袋を下げて小さな男の子と一緒に歩いていました。

 

男の子はキョロキョロと好奇心を振りまくもんだから、お母さんにちょっと遅れちゃった。
先に脇道を渡ったお母さんのあとを慌てて追いかけようとする男の子、でもそのとき、車がやってきました。
おっとっと・・・・ちゃんと左右を見たよ。えらいねえ。

 

車は止まって、男の子が渡るまで待ってくれているようです。
でもね、彼は動けなくなっちゃった。
車の前を渡るべきか、それとも車が行ってから渡ろうか、ムズムズと格闘しているようです。
私はそのすぐ後ろを歩いていたので、こそで追いつきました。

 

「おばちゃんと一緒に渡ろうか」と言って背中をかかえて一緒に歩き出しました。
見ず知らずの人にいきなり声をかけられたもので、最初の 4 . 5 歩はロボットみたいに歩き出し、もう大丈夫だと思ったとたんに駆け出して、振り返ったお母さんにしがみつきました。

 

お母さんは私に「すいません」とお辞儀をしたけど、いえいえ、どういたしまして。
それどころか、遠い昔に息子の手をひいて一緒に道路を渡ってくれた女性は、もしかしたら私だったのか?な〜んて錯覚しちゃったくらいですぞ。
なんだかちょっと懐かしい気持になれました。

 

それではお先に。
お母さんのジャンパーのすそをしっかり握っている男の子は,まるで人さらいにでもあったように、まんまるい目をして横切る私を見上げてる。
いやちがうわ。
あれはきっとね、突然の美しい熟女に戸惑っていたにちがいないべさ。

 


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