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近代的な高層オフィスビル。そこで仕事に役立つソフトのセミナーがありました。
大きな自動ドアをくぐって中に入ると、そこは吹き抜けと言うにはあまりにも巨大なシルバーの空間です。その中に、大きくしきられたガラスの自動ドア。色彩は、一つ置かれた真っ赤なベンチがあるだけです。ああ、なんだかまるで宇宙ステーションに迷い込んだみたい。中年の目にはまぶしいわ。案内掲示板なんて、とても似つかわしくないから置かないんだなきっと。やっぱしさ、『セミナー会場はこちら』の看板がないとオロオロしちゃう。でも、さすがそこを通る人は皆スマートでかっこいいね。
エレベーターの前まで来た時に後ろの方で声がしました。
「セミナーにおこしですか?」振り向くと、今来た所に立っていたスーツの男性が、若い女性に声をかけています。
「それでしたら22階でございます。どうぞ」
そうか、この男性はセミナーの案内係だったのね。
あのさ、今私も通ったしょや。フリーパスかい。
エレベターのボタンをタッチ。すると、なんて言って表現しようこの感覚。白いエレベーターは、今までに感じた事のない静けさと、圧を感じさせない高速スピードで、あっと言うまに22階、無音の白鳥にでも乗ったみたい。たまげたもんだ。
会場の入り口では、関係者の方が、私の前を行く数人の参加者に「いらっしゃいませ」とお辞儀をしています。
したっけさ、私が入ろうとしたら、「あの、セミナーにおこしですか?」って止められちゃった。
そのセリフ、あそこで言われずに、ここで言われるかい、まったくもう。
見りゃわかるっしょ、ここに来たんだから。
そこへ、私の事を知ってるセールスマンさんが気づいてくれて、中に入る事ができました。
でもね、わかっているんです。
同じ仕事をしている人は、普通は若い人か同年代でも男性で、私のような年代の女性は、もしかしたら札幌にはいないかもしれない。
会場を見回してみても、私が最高年齢みたいだしね。
近代的高層ビルで開かれるソフトのセミナーに、このぽっこりおばちゃんは、どうみても浮いてる・・・・
浮いてるから、”このおばちゃんは違うよな~”って思われる。
でもさ、・・・・実はそんな変わりもんに見られる自分が、なんだかとっても好きだべさ。