北海道・札幌発・だべさ通信5

相手を知ることで人は優しくなれるのか

先日、室蘭に出かけた時は、私たち夫婦と長女家族でホテルに泊まりました。
夕方には早々にチェックイン。フロントの呼び鈴を鳴らすと、奥から年配の男性が現れました。



無愛想なホテルマン

ホテルのおじさんは何も言わずにチェックインの用紙を差し出し、
「ここに書いて・・・・」と、紙をこちらの方に押し出しました。
それから「部屋は2階ね」と言って鍵を押し出す。
「スタンプカード持ってない?」と聞いてくる。
雑だわあ。


もちろんお客様は神様ではないので、過剰な扱いをされるのもくすぐったいけど、ずっとむっつりしたままもどうなのよ。
それに、雑な私にも雑に思えてしまうのだから、他の人から見ても印象はよくないのではないかしら。

チェックインのあとは、みんなで外に出て夕食を済ませ、私と2歳の王子を連れた長女は先にホテルに戻ってフロントで鍵を受け取りました。


フロントで呼び鈴をチ〜〜ン・・・・・
「〇〇号室なんですけど」
おじさんは何も言わずに鍵を出し、カウンターの上にガシャリを置きました。
やっぱり印象悪いね。





相手を知ることで人は優しくなれるのか

 

その鍵を握ってエレベーターの前にきた時に、おじさんはカウンターを飛び出して、
「あの・・大浴場のお風呂湧いていますからどうぞお入りください」と声をかけてくれました。
一本調子のイントネーション、でも丁寧語。


今回、このホテルに来て初めてのおもてなし?的言葉。
『わかりました、ありがとうございます』
長女と二人、頭を下げてエレベーターに乗った時、長女が言いました。


「あのおじさんは、きっと普段からああいう態度って言うか、あれが普通なんだよね。悪気があるわけではないんだと思う。今、わざわざ走ってきてまで声をかけてきたのはさ、不器用なおじさんにしては精一杯すんごく頑張ったんだと思うよ」

『そうだよね。この一言で、今まで描いていたおじさんの印象が180度変わったもね。本当は優しいおじさんなんだよね』





知らない人と会った時、もし何も情報がなければ、私たちは出会った時の見た目から、自分のイメージや先入観を結びつけてしまいます。


おじさんはホテルマンなのに無口・・・たまに出た言葉はぶっきらぼう・・・・無愛想・・・・イヤな感じ・・・性格悪そう・・・・・



なのに、走って来たおじさんの行動に、今まで無愛想に見えたおじさんのイメージが変わった。



無愛想なのに走ってくる行動をとった・・・・しかも声をかけてくれた・・・・・おじさんはひょっとして、他人と話をするのが苦手なだけ?・・・・・・お客さんがエレベーターに乗る前にお風呂のことは言わなくちゃと思い、おじさんは勇気を出した・・・・・「大浴場のお風呂湧いていますから」・・・




その日の夜、カウンターで会ったおじさんは、やっぱり無愛想な返答だったけど、私も長女も、なんだかキライにはなれなくて、それどころか、頑張っているのかななんて思いました。


もし、このことがなければ、私たちはおじさんに対して ”印象悪い” と思ったままになっていたね。
” 無愛想には見えるけれど、頑張っている” とわかったことで、相手を少し知ることができた。この瞬間、人は相手に優しくなれるのかもしれません。


それにしても、長女がそんなことを考えたなんてちょっと関心したわ。
キャピキャピ性格のだと思っていたので、私も気づいてなかったね。


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