これからは友達

近所に住んでるその女の子は、生まれた時から顔見知り。

よちよち歩いていた時も、お父さんと自転車の練習をしていた時も、何度も我が家の前で会うのにね、私を見たとたんに固まっちゃう。どうも私は怖い顔しているらしい。

これでもニッコリ笑ったつもりなんだけどな。



幼稚園バスを待つ間、お母さんとは楽しそうにキャッキャと話していても、私が通りがかると、いきなり無口になっちゃいます。私が通り過ぎるまで、お母さんの後ろに隠れちゃったりもします。

怖くないしょや、ほら、こんなに目尻が下がっているっしょ。

べつにさ、あなたと仲良くなりたいとも思わないからいいけどさ・・・



今日、買い物帰りに彼女の家の前を通ると、車庫の中から楽しそうな声が聞こえてきました。

私が通ったら、また逃げちゃうかもしれないけど仕方ないもね。

チラリと車庫の中を見たら、彼女は止めてある自転車にまたがって、体を左右にじゃんじゃん動かしながらビュンビュンこいでいます。

ゲキチャリしてるわ。

チラリと目が会いました。

そしたらね、「こんにちはあ」だって。

いきなり現れた近所のおばちゃんに、度胸を決めて頑張った顔が見えました。

あらまあ、お姉ちゃんになったこと。

私はどうせまた逃げちゃうのだろうと思ったから、他人の顔して通り過ぎようと思ったのにね。



「こんにちは・・・・」

これからは、あなたを見たら、おばちゃんもちゃんと挨拶するね。

ちょっと友達になれた気分だね。

だべさ通信3