「おい、ウチの前にパトカーが止まっているぞ」
え、にパトカー?
ホントだ・・・・。
パトカーが玄関前の道路に止まってパトライトをペカペカさせています。
近所で事件でもあったのかしら。
でも、ウチの事務所の前に止まるなんて、もしやウチか?
それでなくても警察とか、そういうのに弱い私は緊張する。
なんだろなんだろ、警察官が事務所に入ってくるかもしれない。
ブラインドのすき間から旦那さんと4つの目玉をキョロキョロさせてみる。
ん?パトカーには誰も乗ってないみたいだね。
からっぽ。
少しして、旦那さんが「あ、あの車だべ」と言いました。
車?
むこうの坂道を降りて来たトラックが斜めに止まっているのが見えました。
そうか、ぶつかっちゃったんだね。
あの坂は、雪が降り始めると凍るので、車がツーっと滑ったらお手上げ状態。
毎年のように小さな事故が起きています。
気の毒だわね。
いくらパトカーといえども、トラックの傍に近づくのは危険と察したのでしょう。
パトライトを点灯させたまま、しばらくのあいだ、事務所の前に止まっていました。
「おい、通る人、みんなウチの事務所を覗いて行くぞ」
そうか、そりゃそうだよね、だって玄関の前にパトカーだもね。
時刻はちょうど中学生の下校時間のようで、好奇心いっぱいの彼らはこっちを指差し、何を言っているのか盛り上がっています。
強盗でも入ったのかな、それとも犯人がここに潜伏しているのか?
できればそっと彼らに近寄って、ヤジうまのフリして聞いてみたい。
『なにかあったんですか?』
面白かったらポチっとね。