北海道・札幌発・だべさ通信5

一期一会で小さな秘密

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手稲駅北口から発車する朝のバス停。私の乗る2番乗り場にすごい人数が並んでいます。
うわあ、こんなに乗れるのかな。人の列は、隣りの3番、4番くらいまで続いています。
仕方ない、列の最後に並びました。

 

 

「あの、すいません。この列って、2番乗り場の列ですか?」
その声に振り向くと、私の後ろに、ぽっちゃりした若い女性が並んでいます。
「そうですよ。でも今日は込んでますね」

 

 

空のバスがやってきたけど、案の定、バスは超満員。
そこには駅の職員さんがいてくれて、『奥に進んでくださーい』って外から声をかけてくれたんだけど、とうとう、私の前の人までしかバスのステップに上がれません。
ガガーン、もしかして、私と、後ろに並んだ彼女が取り残されるのか。次のバスなんて事になったら困っちゃうな。
彼女も後ろで「うわあ~・・・」とつぶやきました。

 

 

したっけさ、職員さんが機転をきかせてくれて、『前からお乗り下さい』って言って、運転手さんに前のドアを開けてもらいました。やった!思わず彼女と見合わせちゃったもんね。
満員バスはゆっくり動き始めて、私達は、運転手さんの料金箱にくっ付きながらバスに揺られました。
「私、こんな経験初めてです」そういう彼女に、
「本当だね。話しのネタになっちゃうね」なんて言っちゃった。

 

 

前のドアから乗り込んで、バス停をいくつか過ぎた所で、お客さんが大勢降りる所に着きました。今度は下車するお客さんの波に押されそうです。
運転手さんは、私達に「恐れ入ります。一度、先に降りて下さいますか?後ろのドアを開けますので、車内が空いたら乗って下さい」と言いました。そこで私達は一旦前外に降りて、開いた後ろのドアの前で、お客さんが減るのを待ちました。

 

 

すると、彼女が「あ・・」っと小さく言って、バスカードを取り出しました。
小声で「私さっき、前のドアから乗ったのでカードを通すの忘れてました」と言ったかと思うと、そこでちゃっかり、機械にカードを通しました。
本当は最初に乗車した時に、何処から乗ったのかがわかるように、バスカードの時はカードを機械に通しておかなくっちゃ行けなかったんです。でも、こんな状態だったもね。
「うわ、得しちゃっていかったね」「ハイ」これは私達二人の秘密だね。
もし運転手さんが見てたとしても、きっと許してくれるよね。

 

すっかり車内は広くなりました。私は後ろの席にどっかり座って、彼女は前の方に進んだようです。
しばらくバスが進んで行くと、そろそろ私が降りるバス停です。
通路を進むと彼女の肩がチラリと見えました。
それじゃあさようなら。
きょう一日も頑張って。

 

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