北海道・札幌発・だべさ通信5

座席の前を通る時

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半切の大きな額を買って、札幌駅から普通列車に乗りました。
運良く通路側の席が空いています。ラッキーだね、かさばる額は足元に置いて座りましょ。
汽車(列車)が3つ目の駅にすべり込んだ時、窓側に座っていたおばちゃんが急に立ち上がりました。

 
そんな、いきなり立たれても、ボケ~っと外の景色を見てた私は心の準備が出来ていません。
慌てて額を持ち上げて、足元を開けました。
もしかしたら、少し前から、”次は降りますよ” てきなしぐさをしていたかもしれなかったけど、そのおばちゃんは、モタモタしている私に、ちょっとイラっときたみたい。
早くよけてよとでも言うかのように足早に出口に行っちゃった。

 

 

なんだべ!ちょっと”すみません”と言うとかさ、”失礼します”とか、ひとこと言ってくれてもよかったんでないの?
人間、コミュニケーションが大事なんだよまったくもう。
窓側の席にスベらすお尻もついつい乱暴になっちゃうわ。

 

 

同時に乗り込んできた若い女性が、空いた私の隣りの席に座るみたいです。
「失礼します」は、はい・・・・・・・
小さくお辞儀をする礼儀正しさに、窓側の私は、さらに窓側にぴったり寄って、スカートのヒラヒラもモモの下に入れちゃった。
手稲駅に着いたら、今度は私が彼女の前を失礼する番になるかもしれない。
でもね、私だって言えますよそのくらい。
バッグの持ち手を握りしめ直して、”降りますよ~”のしぐさもしちゃうもね。

 

 

手稲駅が近づいてきました。
さあ、ここで彼女の前を通してもらわなくてはなりません。
「すみません・・・」ほらね、ちゃんと言えたでしょ。
でもそこで彼女は「はいどうぞ」と言いました。

ああ、さっきの私はそこまでは言えませんでした。
私ってさ、他人の行動にだけイラっときている、ただのおばちゃんだったのでありました。
反省です。

 

 

残暑お見舞い申し上げます。
札幌の空は、何となく秋の気配です。

 

 

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