北海道・札幌発・だべさ通信5

中央バスに乗ったとき

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日が落ちて、街灯がともり始めた頃に中央バスに乗りました。
お客さんは、そうね座席に半分くらいかな。
私は二人掛けのシートに一人だから、遠慮もしないでウトウトしていました。
ポ~ン・・”次は~10丁目、10丁目でございます”

 


ピンポ~ン
”次 止まります”
バスは停車して、お客さんが降りているようです。
運転手さんがひとりひとりに「ハイ、ありがとうございます」と言っている声が、口元に付いているマイクを伝って聞こえています。
「ハイ、ありがとうございます。バイバイ」
バイバイ?
顔を上げて見てみると、運転手さんが下車するお客さんに手を振っています。
ステップを降りる若いお母さんが小さな女の子を抱っこしているので、その子が運転手さんにバイバイをしたんだね。

 


一日の疲れを乗せて、ただただアナウンスだけが流れていた車内の空気が、ちょっと暖かくなりました。

すると、私の前のシートに座っていた部活帰りとおぼしきジャージ姿の男子生徒さんが、
「うわあ、この運転手さん、優しいべ」と、友達に話かけました。
そうだね、優しいね。
しばらく過ぎたところのバス停で、彼らも降りるようです。
料金箱にバスカードを通してステップをおりる時、二人とも、「ありがとうございました」と言いました。
まあ、今日はなんて暖かいバスなんだろう。暖房だけじゃ、こうはいかないもの。

 

 

そうだ、今日は私も途中で済ませる用事があったんだ。ピンポ~ン!”次止まります”
慌てて百円玉を両替機に通して、小銭を料金箱に入れてバスを降りました。
”ありがとうございました” も言わずに降りちゃう自分が、今日はちょっと情けないわ。

バスから降りて数歩あるいた所で、誰かが私の肩をポンポンと叩きました。
振り向いてみたら、角刈りの知らないおじさんが立っています。
おじさんは、「ほれ、コレあんたの。バスん中の両替機に10円取り忘れていたべさ」そう言って、私に10円をくれました。
「うわあ、ありがとうございます」
「なんもなんも(いえいえ、どういたしまして)」おじさんはそう言うと、さっさと向こうに歩いて行きました。
あたりはすっかり日が落ちて、外はバスの車内よりずっと気温は低いんだけど、なしてかハートはポカポカしてて、とても暖かくなりました。

 

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