今度は新しいご主人に

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それは、車に乗って帰宅する途中でした。
急に、「あ、兄ちゃんの車だ！」と旦那さんが叫びました。
指差す方向をみると、そこには確かに、つい先日まで私達と一緒に暮らしていた長男の赤いパジェロの姿がありました。
並べられた数台の中古車の一番左側に、ピカピカにされて展示されています。あの頃のパジェロとは別人みたい。

 

 

いつも、この旦那さんのデリカと、長男の赤いパジェロが並んでいたのが我が家のスタイルだったけど、
ついひと月ほど前、とうとうパジェロは引退、旦那さんの車の隣りには、新しい相棒がやってきたのでした。

 

 

パジェロのフロントガラスの向こう側には、35万円の札が付けられています。
そうか、あんたは35万なのか。
私達が目の前を通り過ぎたのを知ってか知らずか、どこか悲しげで、不安そうな顔をしているように見えました。車なのに。

 

 

早く次のご主人様が見つかるといいね。
きっと、あなたを大事にしてくれます。さようなら。
デリカは旦那さんにあやつられ、無事に我が家に到着です。
あら、小雨？
デリカのライトに水滴が。もしかして、それってお別れの涙かな。