北海道・札幌発・だべさ通信5

国道393で一期一会

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帰り道は、もうすでに羊蹄山の肩に、太陽が沈もうとしていました。
今まで燃えてた赤や黄色の山々は、影のように少しづつ色を失ってきたし、さっきまで広い畑の遠くの方で小さく動いていた農作業の車達は、今は仕事を終えてじっとしています。
ここから先は、2年前に全線開通(2008年9月)した、国道393号線を通って小樽回りで帰ります。
小樽までは、ひたすら、なだらかなこう配の続く山道です。

 

 

さっきから、私達の車の前を走っているのは、白いバン。
屋根にはハシゴ、車の中には、バケツや工具箱、あとポールのようなものが積んであります。
後ろ姿は、お世辞にも奇麗とは言えず、サビが浮いてて、どこかにこすったような跡もある、それは職人魂の固まりのような車です。
いつしか山の稜線も見えなくなって、車はライトで照らす白いバンを浮き上がらせながら走ります。
続く登り坂、右カーブ、左カーブ。今度は少し下りながら右カーブ、左カーブ。それから先は、ひたすら続くゆるい登り。
2台の車は、いつのまにかペアを組んでるみたいだね。それからずっと信号のない道路を滑っていきました。

 

 

そのうち、バンのお尻から黒煙が。
「うわ、苦しがってるっしょ!」
登りで一つカーブを切るたびに、バンのマフラーからは、黒い煙がブワワワ~ン。
がんばれ~!
どういうワケか知らないけれど、いつの間にか仲間意識が芽生えてきちゃったわ。
もうすぐ峠も頂上だべさー。
やったやった、この先の毛無山から下るつづら折りカーブも気をつけてね。

 

 

下りを終えるあたりから、街灯や家の灯りが灯るようになって、小樽の街に入りました。
広い2車線の国道に合流して、車は信号待ちです。青になった時、私達の車は白いバンの隣りを通り抜けました。
その時、お互いにチラリと見合いました。白いバンの運転手さんは、ツバのついた帽子をかぶったお兄さんでした。
なんだかちょっと寂しいね。家に着くまで、どうぞお気をつけて。

 

 

 

 

 

 

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