北海道・札幌発・だべさ通信5

婆ちゃんの、わかる事と、そうでない事

スポンサーPR


 

婆ちゃんが体長を悪くしてから、そろそろ2ヶ月が過ぎようとしています。
一時は、どうなるかと思ったときもありましたが、今ではなんとか、病状も安定しています。
病院は自宅から車で10分ほどなので、仕事後はできるだけ、旦那さんと婆ちゃんに会いに行きます。

 

 

介護者が付き添えば、歩行器での移動ができるので、私達が行くと廊下の向こうにあるホールまで歩くのが日課になりました。
婆ちゃんが「今日は仕事に行ったのか?(事務所から外に出る仕事の事)」
と聞くので、
『行ったよ』
と言うと、
「気をつけて歩けよ、お前らがいなくなったら婆さんどーすりゃいいんだか困るべや」と悲しげな声になります。
それから天気の事や、親戚の事や、ご飯のおかずがまたサバだったという話しをしてから、
また「今日は仕事に行ったのか?」と聞いてきます。

 

 

病室に戻って、今度は私が婆ちゃんに聞いてみる。
” さっき夕飯で食べていたのはみかん?”
「・・・・・・」
”それともグレープフルーツ?”
「・・・・・・」
”冷蔵庫、開いているよ”
「・・・・・・」

 

 

話しが通じる時と、そうでない時。
本当と、そうでない事がわからない時。
気持が高ぶった時など、感情のまだら模様を見る度に、婆ちゃんの意識は、薄皮をはぐように遠ざかって行くようです。

 

 

「婆さん、入れ歯洗うんだべさ」
旦那さんがそう言うと、
はっと気づいたように、入れ歯を外してコップにチャポンと入れました。

 

 


人気ブログランキングへ
ポチっとして頂けると嬉しいです。スポンサーPR