北海道・札幌発・だべさ通信5

紳士たるもの

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汽車(列車)は手稲駅に滑り込みました。
ホームに降りると、あら、ちょうどエレベーターの前でしょや。
本当は、階段をサササのサ!っと登らなくっちゃいけない年頃なんだけど、今日はすぐ前だもの、エレベーターに乗っちゃおう。

 

 

私の前には、スラリとした白髪のお婆さんがエレベーターを待っています。髪をキリリとおだんごに結っていて、藍色の柄のワンピースが涼しげだね。先頭に立っているのは、小さなお爺さんです。白い半袖の開襟シャツに、うす草色のズボンをしっかり履いてる、どこか懐かしい昭和のお爺さんです。
上から降りて来たエレベーターは、すーっと私達の前に舞い降りました。
扉が開いて、”2階へ参ります♪”

 

 

お爺さんはボタンのある壁側に、お婆さんは中ほどに、私は反対側の壁にくっ付きました。
エレベーターが上がると同時に、2階の改札ホールが、床からすーっと現れました。
”2階でございます♪”
オレンジ色の扉が開いたその時に、お爺さんは右手を差し出し、お婆さんに言いました。
「お先にどうぞ・・・」
足を揃えて立ってるお爺さんのズボンの上が、ベルトでギュッて縛られているから、チューリップみたいに反り返っているところがちょっとめんこい。

 

 

お婆さんは、「どうも・・・」と会釈して先にエレベーターを降りました。
私にも、子供店長みたいな手のひらを、ホールに向けて示してくれました。
あ、はい、どうも・・・
レディーファーストを心得ているお婆さんに比べて、私は戸惑っちゃったわ。
小さなお爺ちゃん紳士は、改札口を出てからどっち方面に行ったのかな。
振り向かずに歩きながら、そんな事を考えました。

 

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