緊急停車で指圧は無理よ

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今日さ今日さ、手稲から昨日と同じ、朝8時前の汽車に乗ったっしょ。
また混むんだったら、昨日みたいに押し合いへし合いの力で、二の腕あたりに、ぎゅ～って指圧なんかされたらいいかなって思ったわけよ。
でもさ、そう簡単に同じ場所が空いてるはハズはないもね。仕方ないから、適当な所に立ったのさ。

 

 

やっぱしみるみるうちに混んできてさ、カバンなんか手から放してもおっこちないくらいの混雑ぶり。雪があるからその期間だけ乗る人が多いんだべかね。
したっけさ、小さな駅を出てスピードが乗ったかなーっと思った時になんと急ブレーキ。
キキ～～～ッ！！

 

 

みんな押されてちゃってさ、それが急だったからすんごいの。指圧どころの騒ぎじゃないよ。！
きゃ～！とか。うわあ・・なんて声がしたんだから。
私も、すんごい押されちゃってさ、ウウ～～ってなって、気持ちいいどころでなかったもね。
したっけ同時にさ、車内にピーッピーッピーっていう音が鳴り出したの。あれはきっと緊急停車した時になる音なんだね。

 

 

車内はシ～ン。音がするのは緊急停車音の、そのピーッピーッピーと、時々誰かがする咳払いぐらいだったよ。
『皆様・・この列車は、○○駅ホームから線路に人が侵入した模様の為、緊急停車しております。しばらくお待ち下さい。』なんて言ってたさ。
回りの何人かは、あの窮屈な空間でメールを打ち始めちゃったもね。きっと仕事先への連絡だね。しっかし迷惑な話しでしょやね。なーんでこの忙しい時間帯に線路歩かなきゃなんないのさね～。
それにしても、ブレーキがかかった時にね、所々で『すいません』の言葉が聞こえたんだわ。わざとじゃなかったにしても、自分がギューっと押しちゃった人に『すいません』と言える朝の列車の人達って、大人だね。
いいかげんに動いてくれないかな～～と思ってしばらくしてから、汽車はゆっくり走り始めたとさ。めでたしめでたし・・めでたくないけど。