北海道・札幌発・だべさ通信5

身振り手振りで幸せに

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「戦場ってね、砲弾が雨のように降ってくるんだって。その中を生きて戻った父を見て、母はしばらく言葉を失ってから、父の足にすがりついて、ただただ 嗚咽(おえつ)したそうです」
そう話すみや子さんは、私より先輩だけど、キャンディのようなイヤリングもさまになってる若々しい女性です。

 

 

みや子さんの話を聞いているうちに、兵隊さんの頭の上を、無数の鉄砲が飛んでいく光景が浮かびました。
そこに、格子柄のもんぺをはいた女性が現れて、兵隊さんの薄汚れた草色のズボンにすがって涙を流す様子が浮かびました。
もう、紙芝居を体育座りで見ている幼稚園児のように、私はすっかり物語の中に引き込まれ、まぶたと鼻が、ツ~ンときちゃいました。

 

 

それもそのはず、みや子さんは、語りのボランティアをしているくらい、相手の心に語りかけるのが上手な人なのです。
「ぽぷらさんにもできるわよ。こうやって手と体を使えばいいのよ、ね」
そう言うと、両手をかざして遠くの方を見てみたり、広げた両手で、そっと誰かを抱きしめる格好をしてみたりしました。

 

 

な~るほど。
確かに言われてみれば、両手をかざした指の上には、青くて広い空が現れました。
大きく広げた両手の輪の中には、愛おしい人が抱きしめられていました。
誰かに何かを伝えようとするときは、相手の想像力をかき立てる、優しいしぐさを添えればいいわけですね。

 

 

幼稚園児のお遊戯を思い出しました。
”大きな栗の木の下で あなたとわたし 仲良くあそびましょ 大きな栗の木の下で”
両手をいっぱいに使って、肩で息したあの頃の豊かな表現力は、大人になるうち、だんだん しょぼく小さくなって消えてしまったんだね。
豊かな表現力が人の心をとりこにしちゃうという事は、結局 自身の生き方も豊かになる・・・・という事なのでしょうか。
”大きな栗の木の下で あなたとわたし 仲良くあそびましょ・・・・”
身振り手振りで話してみれば、私ももっと伝えたい気持ちが相手に届くかもしれません。

 

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