北海道・札幌発・だべさ通信5

こんな夜に、時々思い出す写真の事

 

こんな夜に、時々思い出す写真の事『友人に頼まれたんですが、破れた写真直せますか?』
もう何年も前の事だけど、そう言われて持ち込まれた写真の事を思い出す時があります。

 

 

その写真にはご夫婦とおぼしき若い男女と、母親が抱っこしている赤ちゃんが写っています。
写真は、まず ふたりの間が大きく切り裂かれ、それから胴体の部分、赤ちゃんを抱っこしている母親の手の部分も引き裂かれています。5枚くらいに破られていたでしょうか。
私たちは、どんな写真でも、その深い内容までは聞く事はありませんが、男性は語ってくれました。

 

 

写真に写っている夫の方が若かりし頃の男性の友人。
そして、友人の奥さんと娘さんだそうです。
事情があって、友人は男手ひとつで娘さんを育てました。
このたび、娘さんが結婚する事になったのですが、娘さんは母の事を知りません。
ところが最近、娘さんは母の事を少しでも知りたいと望んでいるらしいのです。

 

 

本当なら、捨ててしまおうと破った写真。
けれど友人は捨てる事ができず、今までそっと持ち続けていたのです。
今なら、母の写真を見せてもいいかもしれないと思った友人は、男性に、写真をつなぎ合わせる事はできないものかと相談したという事でした。

 

 

まずはバラバラの写真をスキャナで取り込みます。
最初に二人を結びつけ、それから胴体もつなぎ合わせます。
女性の胸元には赤ちゃんを、ちぎれた手首もつないで、しっかり赤ちゃんを抱っこしてもらいましょう。

 

 

あれから5年も過ぎたでしょうか。
もしかしたら、娘さんは母になっているかもしれないね。
私のつないだ写真はきっと今でも役にたっているに違い。
そう思うと、寒い冬の夜でも、あったかくなるような気がします。

 


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