北海道・札幌発・だべさ通信5

それは、どんなに怖い先輩か

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昨日の夕方の美容室は空いていました。静かなBGMが流れている中で、お客は私ひとりのようです。
パーマをかける為に髪を巻き巻きしている時に、もうひとり、お客さんが入ってきました。
となりのイスに案内された彼女は学生服を着ています。女子高生なんだね。

 

 

スラリと細い男性の美容師さんがやってきました。
「今日はどのような感じに?・・え? ここ短く?え?こっちのほう?」
彼女はの声はか細いようで、彼は何度も聞いています。
それから、場を和ませるかのように
「今日は土曜だけど、学校あるんだねえ、部活ですかあ?」などと話しかけました。
「は、はい・・・・」
腰に付けたガンベルトのようなホルダから、ハサミをすっと抜いてシャカシャカっと彼女の髪を切り始めました。
「そうかあ、部活だと、土日もないもんね〜」
「はい・・・」
私の方はというと、はつらつ元気な女性の美容師さんが、手際よく髪をスーとすくってはカーラーでクルクルと巻いています。

 

 

目を閉じてウトウトしていると、
となりから
「え!恐怖の先輩?!」という男性美容師さんの声が聞こえました。
思わず目を開けて、隣りの話しに聞き耳をたてちゃった。
私の美容師さんの手も一瞬止まりました。
そうか、とても怖い先輩がいるのか。
今も昔も部活は過酷なんだなあ。
もしかして、ちょっとドジをすると、”うさぎ跳びをグラウンド3周!”とか、”腕立てふせを100回!”とかさせられて、
”も、もうできません!”なんて倒れ込んじゃうと、”たるんでるう〜〜!!”とか言って、竹刀でベシベシ床を叩かれちゃうのかな。かわいそうに。

 

 

男性美容師さんが「どんなところが恐怖なの?」と彼女に尋ねています。
うんうん、それそれ、聞きたいなあ。なんでしたら隣りの私まで聞こえてほしいなあ。
「あ、あの、キョーフです」
「恐怖?」

 

 

「あ、あの、恐怖じゃなくってキョウフです・・・」彼女はがんばって、少し大きな声で言いました。
「キョーフ?」

 

 

「いえ、キョーホです」
「え?っキョーホ?競歩?あ〜あ〜競歩って、あの早く歩く、あの競歩?」

 

 

「はい」
彼はハサミを持った手を一瞬止めて、”そうか” というように大笑い。
「恐怖じゃなくって競歩かあ〜」
「はい、ふふふ」

 

私もさ、思わずおかしくて下を向いちゃったしょや。
髪をクルクルしていた美容師さんも手を休めて、
「やだ〜〜、んもう、この人(男性の美容師さんの事)ったら、耳が遠くてごめんなさいね」と彼女に言いました。
そこで思わず私も登場しちゃいました。
「私も、どんなに怖い先輩がいるのかと思っちゃった!」
私の美容師さんは「ですよね〜、ですよね〜」と言って、それから
4人のケラケラ笑う声が、BGMの静かなジャズをも一瞬聞こえなくしてしまいました。
なんだか、ちょっと、楽しい時間でした。

 

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