北海道・札幌発・だべさ通信5

のれんが境目?居酒屋さん

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長男の家族サービスで出かけたそのお店は、こじんまりした居酒屋さんです。
お客さんは私達の他に、奥の座敷に数人で来ているグループと、となりの席におじさんがひとりです。
「いらっしゃいませ、ご注文は・・」
床に届きそうなくらい、長くて黒いエプロンをしたおじさんが出てきました。

 

 

「飲み物と焼き鳥を」
「かしこまりました」おじさんはゆっくり注文を聞くと、厨房ののれんをくぐりました。
するとその途端、おじさんはまるで別人みたいにサササとテキパキ動き始めました。すごい、さすがだわ。
「お待たせいたしました。豚串、鳥串です」
差し出す時は普通の早さに元通りなんだね。
「あ、そうそう、クーポン印刷してきたんですよ、これ使えますか?」
おじさんは、待ってましたというように
「そうですか、ではこの焼き鳥はサービス致しますね」と言いました。
うわ、クーポンで得したね。

 

 

「あのお刺身を」
「お刺身でございますね」
またまた丁寧に注文を尋ね、厨房へののれんをくぐったかと思うと途端にスピードアップ。あっちにサササ、こっちにサササ。のれんがおじさんの時間を変える境界線みたいだね。
「お待たせいたしました。お刺身の5点盛、今日はサービスで6点にさせて頂きました」
「ええ!まあ、有り難うございます。」
「いえいえ、どういたしまして」

 

 

「それからサラダと生春巻きと・・・」
「はい、かしこまりました」
またまたきっと、のれんが境目だよ。
案の定、おじさんはのれんのとこまでは普通の早さ。けれどひとたび、のれんをくぐったその途端に、早回しするよなスピーディーな動きに変身です。
大人数のチェーン店とは違うから、なんでもしなきゃなんないもね。
厨房の方を覗いてみると、厨房の奥にもうひとり、板さんがいるようです。

 

 

帰りぎわ、おじさんはまたまたサービスで、少しのキャッシュバックをしてくれました。
こんなにサービスしちゃっていいのかい?
それでなくてもメニューの料金だって、けっこう安いしょや。
次に行こうと思った時に、どうか、このお店が消えていませんように。
ごちそうさま。

<はなまる居酒屋手稲区富丘3条7丁目>

 

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