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国道の十字路、あちらの歩行者用信号がペカペカと点滅し始めたのが見えました。
それじゃあ青になるこちらの横断歩道から渡りましょ。
こっちの信号機の定位置に立ちました。
あれ?道路の向こう側を歩いてきたのは、近所のアンテナおばちゃんでないかい。
70代とはいっても元気で、リュックをしょって、大きく腕を振ってスタスタ歩いています。
そのおばちゃんの情報収集能力はスマートフォンもビビっちゃうほど。
○○さんちの孫は窓から顔を出したことがないとか、婿は××病院に入っていて、こ〜んな症状だから”ありゃもうダメだ”とか、推測をもプラスした報源をコミュニケーションの手段としています。
・・・スタスタスタ・・・・もしや、同じ横断歩道を渡るのかな・・・
スタスタスタ・・・・ピタッ・・・クル・・・や、やっはし・・・・・・
目が会いました。
おばちゃんは、”おや・・”という表情で、ニヤっと笑いました。
あ、あら、おほほ・・・・・・
このわずかな時間に、おばちゃんのwifiの電波が私に切り替わったかもしれない。
横断歩道の真ん中でも、時間いっぱい立ち話をできちゃうおばちゃんに、私はえじきになってしまうのかしら。
こういう時は先手必勝です。
パッ・・・・青だわ。
スタスタスタ・・・・
「あら〜、こんにちわあ〜」
「いやいや ぽぷらさん、婆ちゃん元気かい?」
「ええ、おかげさまで・・」
「なんだか最近見ないからさ、入院でもしたかと思ってさ・・」
「いえ、でも最近はが弱ってきたので・・あ!信号か変わっちゃいますよ、それじゃあ」スタスタスタ・・・・
よっしゃ。あちらは元気とはいっても70代、こちらはそれより若い50代、信号が同時に青になった時、スタスタ歩けば私の方が沢山距離が稼げるってもんです。距離が稼げなかったおばちゃんは、信号が変わってしまっては大変と、向こう側に歩いて行きました。
噂話は確かに興味はあるけどさ、度を超しちゃうと困っちゃう。
アンテナのチャンネルを変えてみると、もっと世界が広がって楽しいかもしれないのに。
ちょっと可哀想なおばちゃんでもありました。