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「毎日シバれますねえ(冷えますねえ)」と私が話しかけたのは、少しお姉さんの西村さんです。
「そうね、でも、私の住んでた所はこんなもんじゃなかったよ」
「へ〜、西村さん、故郷はどちらなんですか?」
「おとふけ(音更)」
「おとふけ!」
音更町は北海道の内陸なので、その寒さも筋金入りと聞いています。
「寒い時はさ、鼻をつまんだらひっついちゃうんだよ」
「そうそう!札幌でも、うんと冷えた時はくっ付いちゃうもね!」
そうなんです。すご〜くシバれた日はね、鼻をつまんで放すと、ちょっとの間ひっついちゃんです。
「今日はシバれるなあって思うの日そうだね、マイナス20度くらいかなあ」
「うわあ、そうなんですか!じゃあ札幌なんかあまっちょろいですね」
「そうだよ〜。そんなシバれる日に外出する時はね、帽子をかぶってマスクするんだけど、マスクから出た息で、前髪の先が凍っちゃうの」
「ほ〜それでそれで?」
「寒いけど、景色がす〜ごくきれいでさ、木々に、氷の花が咲くんだよ。霧氷ってやつだね」
霧氷か・・・きっと、札幌なんかで見るチョイ氷の付いた木なんかとはスケールが違うんだろうな。
「それから、サンピラーって言うのかい?あのほら、空気の中の水分が凍って光の柱になるヤツ、あれが神秘的できれいなんだわ」
「あ〜あ〜、私も見たような気がします。ずっと昔子供の頃、手稲が今よりずっと田舎だった頃、登校の朝の林の所で時々現れたキラキラしたものがそうじゃなかろうかと思うのです」
晴れた朝は”放射冷却現象”で、熱が雲にフタされないから空に逃げちゃうしょ、だからキーンとバれる朝になります。そんな時、宝石のようにキラキラ光る美しい光が現れます。それは今にも天使が舞い降りてきそうな光景です。
「それにね、冬の夜空はすごいよ、星の数ときれいさがハンパでないの」
「うぉ〜!見てみたい!」
冬の星は、大気のレンズを変えたようにクリアに光っているもね。
霧氷もサンピラーも、そして満天の宝石も、そこにいる人だけにしか見る事のできない、神様からの贈り物なのですね。
私は”道産子”ですと言ってはいるけど、本当の北海道の厳しさや美しさは、これっぽっちも知らないのです。
西村さんの話しを聞いているうちに、一度、そんな美しい世界を見てみたいと思いました。
だべさ通信3は北海道の
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