北海道・札幌発・だべさ通信5

セピア色が作る、バスの運転手と乙女の乗客

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寄り合いで隣りに座ったおじさんは幼稚園バスの運転手さんです。
今年の大雪、小さな子達を乗せての運転はさぞ大変でしょうと訪ねてみると、おじさんは
「もう わやさ(大変さ)」と言って、首をガクっとうなだれました。
それから気を取り直したように
「道路がさ、こうでこうで・・狭くなって、道の両脇がこうだべさ」と、まるで最新型ジェットコースターのコース説明みたいに両手を大きくクネクネさせました。
北海道の冬道は大雪が降る度に急に幅が狭くなったり、高さが変わったり、マンホールの穴の部分だけの雪が溶けて落とし穴みたいになったりと変貌します。さらに、路面の凍結あんばいをも読むのだから、冬道のバスの運転はもう熟練のワザだよね。

 

 

「僕は退職するまで市営バスの運転手してたんだよ、1972年からず~っさ」
市営バス!!なんて懐かしい。札幌市営バスは、肌色のボディに赤色のストライプ。それとおでこの部分にも、帽子のように赤く塗られていたデザインで、JRバスに変わる2004年まで運行していました。

「私、市営バス乗ってましたよ!娘時代に西区(札幌)の福井という所に住んだ事がありまして、社会人になってからは毎日お世話になりました。当時は住宅も少なくて、終点近くのバス停では最後のお客になる事もしばしばで・・・・」

 
「おや、それ、もしかしたら僕だったかもしれないなあ。その路線も運転していたから」
「ええ!!それじゃあの時の、ちょっと素敵な運転手さんは、もしや山口さんでしたか!?ほら、最後まで乗車していたカワイイ乙女が私だったんですよ」
そう言う私に、山口さんは一瞬キョトンとしたけど、すぐにのってくれて
「そ、そうだったのかあ〜、あの時の、いやいやまいったな~」と、グリグリ頭を右手でなでながら、ちょっと照れくさそうに笑いました。

 

 

「あの頃はさ、雪が降ると時間通りの運行ができなくて、お客さんによく怒られたもんですよ」
「道幅が今よりもっと狭かったですもねえ」
まあ、なんて楽しい30年以上もたってからの再会?
こんな未来を、ポツリポツリと小出しに出してくる神様はサジかげんがいいですね。
もしかしたら、まだまだあるの?そんな再会が。
どうせあるなら、そろそろ早めにお願いします。思い出せなくなっちゃうので。

 

それはナイショだべさ〜〜(手稲神社の神)

 

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