北海道・札幌発・だべさ通信5

バスで出会った若者よ、その後 君はどうしたの?

JRバスに乗っていたとき、途中の手稲駅から、大きなバッグを2つも持った高校生くらいの若者が乗って来ました。
何か特別なスポーツをしているのかな、人間がスッポリ入っちゃうそうな黒いビニールのバッグと、スイカが入っているよなパンパンの布袋。
私の前の座席に、大きいバッグをドンドンと置いてから、ドッカと腰掛けました。
ハ〜・・・・

バスは駅を出発するとすぐに左折。
すると、今までシートにもたれかかっていた若者は、背筋を伸ばし、シートから頭ひとつ出ている首を伸ばし、あたりをキョロキョロしています。
バッグを引き寄せてみたり、背負ってみてはまたシートに置いてみたり、落ち着かない様子です。

 

 

そのうち、クルリッとこっちを振り向きました。
「あのすいません」
『!! は、はい』顔が近い・・・

 

 

「このバスは地下鉄宮の沢駅に行きますか?」
なるほど、そういうワケだったのね。
宮の沢駅行きのバスの中には、数本だけ違うルートを走るバスがあるんです。
私も最初はバスの番号の違いに気付かず乗って、どこに連れていかれるんだかとハラハラしたもんです。

 

 

『宮の沢駅は、このバスの終点だから大丈夫ですよ』というと、
青年は安心したのか
「あ、そうですか」と言って、また前を向いて座りました。

 

 

バスが途中まで着たときに、青年はまた、回りをキョロキョロし始めた。
不安になったのかな。
そして、スイカバッグのチャックをあけて財布を取り出し、小銭をのぞいているようです。
もしかして、お金足りなくなっちゃったのかな。

 

 

そのうち、”降りますボタン” に手を伸ばしました。
え!地下鉄駅まで行くんじゃなかったの?
なんだかこっちが慌てちゃう。

 

 

そんな大きなバッグを持ってここで降りたら、歩きで地下鉄駅まではしんどいよ。
もしお金が足りないなら、おばちゃん、少し足してやってもいいけれど・・・

 

 

♩ つぎはー ○○丁目でございまピンポ〜〜ン!
ええ〜〜!!押しちゃった。

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私はついに我慢ができなり、後ろから人差し指でチョイチョイと肩をさわりました。
振り向いた彼は、今度は驚いた顔してる。
「地下鉄駅まで行くんでしょ。このまま乗っていれば、あと10分くらいだよ」

 

 

若者は、「いえ、いいんです」といって、バッグの持ち手をギュっと掴むと、バス停に止まったと同時に立ち上がりました。
他に人がいなけりゃ ”運賃足りないのかい?!とかなんとか聞けたかもしれないけれど・・・・・

 

 

それから私に
「どうも、ありがとうございました」とペコリと頭を下げました。
おお!なんちゅうすがすがしい青年!
それからバスの出口に向かって歩きだし、料金箱にお金をジャラジャラと投入すると、バッグをかかえて降りて行きました。

 

 

でもさ、いくらなんでもバス賃が足りなくて途中で降りるなんて、そんなワケないよね。
彼が用事のあったのは、きっとこの場所だったんでない?
バス停のの横でキョロキョロしている彼の姿は、バスが動き出した途端に見えなくなりました。

 

私の余計な思い込みだとは思うけど、おせっかいがイマイチ足りなかったかもしれない。
そうでないと、こっちの方が心残りになっちゃった。


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