半ズボンじゃなく、長ズボンです

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婆ちゃんが、窓際で縫い物をしていました。
あら、ズボン直してるの？
「これよ、（丈が）長いのよ」
婆ちゃんは、爺ちゃんの形見の黒ぶちの老眼鏡をかけ、背中を丸め、手元を目にとても近づけ、覗き込むようにズボンのすそを縫っていました。
そのズボンは、婆ちゃんの友達が、いつかくれたものだそうです。

 

 

よかったら私が縫うよ。
今までは、針に糸さえ通しておけば、たいていの針仕事はできたけど、最近ではちょっと危なかしいのです。
「そうかい、したら頼むわ」
ズボンのすそは、ちゃんと、しつけ縫いがしてあるので、あとはそのまま縫うだけです。

 

 

どれどれ。
すその長さを見るのにズボンを床に広げてみました。あら、これじゃ短すぎじゃないの？と聞くと、婆ちゃんは
「いやあ、これでちょうどいいべよ、おら計ったも」
と言いました。
念のため別のズボンと比べてみました。ほんとう、だいたい同じ長さだわ。

 

 

というわけで、婆ちゃんのズボンのすそ上げをしました。
婆ちゃんの足は本当はもっと長いんだけど、両足ともO脚に大きく曲がっているので、これくらいがちょうどいいのです。
ハーフパンツじゃないよ。