北海道・札幌発・だべさ通信5

名前はわからんけどジュースだ

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近所に住む1人で暮らしの爺ちゃんは、とっくに80歳は過ぎていて、
私が「こんにちは」とか言うと、「ワシはもうそろそろ死ぬぞ~」なんて言う、シャレのキツイ爺ちゃんです。
リサイクルの板で作ったと思われる手作りの風除室(風よけの、玄関の前室)の中に、サマーベッドを置いて、ランニングシャツ1枚で寝っころがっていました。

 

 

「こんにちわ」
「おや、どうも、暑いなあ~」
「ほんと、暑いですね」

 

 

爺ちゃんは、サマーベッドからやわら起き上がると、
「あんた、この暑いのに出歩くのかい」と言いました。
「ええ、ちょっとそこまで」

 

 

「したら(そしたら)待ちな、ジュースやっから」
「え、いえいえそんな・・・」
「いいからいいから」
まいったなあ、ただ挨拶しただけなのに。
家から出てきた爺ちゃんは、500ミリのペットボトルに入ったなんかを差し出しました。

 

 

「ほれ、ジュースだ、飲みな」
え、”飲みな”って、これはいったいなんだろう。
炭酸飲料が入っていたと思われるそのペットボトルは、ラベルが外してあるので、のっぺらぼうです。
それに、ジュースというわりには、中身は薄い茶色だし。
「これは、なんのジュースですか?」
「ええ?なんちゅうんだか、名前はわからんけどジュースだ」
名前は、わからんけど、ジュース・・・・・・
しかもよく見ると、このペットボトルは何度か使ったものらしく、白いフタのギザギザ部分がちょびっと黒くなってます。
まいったなあ。
でもその飲み物は、冷蔵庫から出したばかりのようで、ひんやりとしていました。

 

 

「ありがとうございます、それじゃあ遠慮なく」
「どうぞどうぞ、あ、その入れ物、飲んだら持ってきてね」
ええ!
「それから、あんたんちにあるペットボトル、空いたのあったら持ってきてや」
「そ、そうですか・・・・」

 

 

帰宅してから、もう一度じっくり見てみました。
何のジュースだろう。せっかくだから少しは飲まないと、次に会ったときに困るもな。
このままグビグビ飲んだら、もしかして間接キッスかも・・・
フタを取って、匂いは・・・・・ないみたい。
ちょっとコップに注いで飲みました。
・・・・・あら、普通のお茶でしょや。しかも、スーパーで売られている美味しいお茶の味です。
もしかして私の為に、空のペットボトルにわざわざ入れ変えてくれたのかもしれません。
中身がわかったとたんに、なんだかホっとしちゃったね。

 

 

それであとから、我が家にあった空のペットボトル3本と、お礼にペットボトルのお茶を1本もって爺ちゃんの所に行きました。
「昨日はどうもごちそうさまでした。これ、どうぞ」
爺ちゃんは
「いやいやどうもね。あ、ちょっと待ちな」
と言って家の中に消えました。
え!もしや・・・
うわあ、その、もしやでしょや。
「はいコレ、また一本やっから、持っていきな。あ、空いた入れ物、持ってきてね」

・・・・・・・・・・・・ガ~~~ン

 

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