PR
それはまだ、朝日が登ってまもなくの頃だった。
ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜どこからか救急車のサイレンが聞こえてきた。
”あら、近所みたいだわな・・・いったい、今何時だろう・・・”
寝床の中から腕を伸ばし、時計を見ると５時を回ったところだ。もう一眠りだわ・・・・・
しかし、その音はしだいに大きく近づいてくる。
ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜
”もしかしてご近所？”
ピ～ポ～ピ～ポ～ピッ！
・・・もしかしてウチの前！！
慌てて飛び起きて窓の外を見ると、まさしく救急車の赤いランプが私の顔を照らしている。
すると、中から３人の隊員が飛び出してきた。
まさかウチの誰かか？息子！旦那！婆ちゃん！！・・・・シ〜〜〜ン・・・
そこに、サイレンを鳴らさずに２台のパトカーもやってきた。１人の警官が救急車の隊員と話をしているようだ。もう１人の警官は、我が家の前をジロジロ見ている。もしや、ウチの息子が何かやらかしたのか！それとも我が家の前で事件か！
いっそ飛び出して聞いてみようか、いやしかし待てよ、頭ボサボサ、古着のTシャツパジャマで飛び出すのはいかがなものか。ここはカーテンの隙間から様子を伺う事にしよう。
警官が、落ちていたと思われる黒い財布を広げながら、肩のマイクで本部と交信している。そして、あっちを指差して何か叫んだ。
え、なになに？窓に顔をくっつけても聞こえないよ。警官の指差す方向も見えない。あっちの窓に移動だわ。
旦那さんの寝ている布団をサっとまたいで向こうの窓にすばやく移動。
するとそこに見た者は！どっかの爺ちゃんと婆ちゃん！
二人は救急隊員と警官に話を聞かれているようだ。
おや、爺ちゃんがフラついた。具合でも悪いのか？あわてて救急隊員の女性が腕をつかんだがふりほどいている。
婆ちゃんはサッサと歩いて、この場から足り去りたい様子だ。
もしかして、爺ちゃん、酔っぱらっているのではないか？
爺ちゃんは、話を聞こうとする隊員や警官に反抗し、なにやら声を出しながらヨタヨタ歩いて行こうとしている。
警官も、あきれ顔だ。
これはいったい、なんだったのだ！
推測しよう・・・救急車・・警官・・・財布が落ちていた・・・酔っぱらいの爺ちゃんと婆ちゃん・・・
もしや、救急車警察を呼んだのは、酔っぱらってた爺ちゃん達？
『具合が悪くて救急車を呼んだものの、到着した頃には歩けるようになったので、隊員の手をわずらわせるのが申し訳なくなった』と考えるべきか、
それとも『大した事はないのに、救急車を呼ぶ、お騒がせな年寄り夫婦』と考えるべきなのか・・・・
それにしても、目がさえちゃったじゃないか！
静かな日曜の朝に戻った事だし、ホットコーヒータイムとしましょうか。
