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(おことわり・・・長文です。)
昨日、初めて手話講習会というのに参加しました。
『” りんご ”を表すにはどうしたらよいでしょう。
手でリンゴくらいの大きさの丸を作ってから、それを持って、もう片方の腕にキュキュっとこすってツヤを出し、かじるポーズをしてみましょう』
おお~なるほど、リンゴだ。
手話って、ジェスチャーのゲームみたいだね。
受講者の多くが女性という中で、私のとなりのとなりに、一緒に手を動かしているおじさんがいました。
チラリ・・
デニムのシャツとジーンズをパッチリ着ていて、髪は耳上まで大きく刈り上げ、てっぺんの髪をシャープに残すヘアスタイル。
今ふうなのかそれとも、アメリカングラフィティなのかよくわかんないけど、なんか見覚えがある人でないかい。
あ、私たち家族が若い頃、同じアパートの下に住んでいた吉岡さんのご主人だ。
講習会が終わったあとに、声をかけてみました。
”あの、ぽぷらです”
「おお~、みっちゃんのお母さんじゃあないですか、乗ってきます?ボクの車スゴイっすよ、ホントに乗り心地スゴイっすよ、乗ってきます?」
相変わらずの軽いテンションで誘ってくださった。
”ボクの車スゴイっすよ” に興味しんしん。もしや誘惑されちゃうやもしれぬというのに、ちゃっかり送っていただく事にしました。
「これっす、すごいすけど、どーぞどーぞ」
これは・・・
深緑色のサイコロみたいな車体、大きなタイヤ。
ステップが高いので、気合いもろともおもいっきし足をあげ、よいしょ~っと車に乗り込む。
車内は、横転しても人を守る金属の棒(ロールバー)が、まるで骨のようにガードしているし、ドアの取っ手はなくて、細長い板状のものをカタッンと落として開かないようにする方式だ。
”これはもしやジープっていう車ですか?”
「そうっす、動きますよ」
ガガガーっ
ガタガタガタ・・・・
ガタガタガタ・・・・道路って平じゃなかったんだ。
お尻の下から誰かにカナヅチで叩かれているようで、そのたびに体が浮き上がる。
それにこのジープは、ちょっと大きな振動を受けるたびに、私の前のポケットのフタがパカっと手前に開いちゃう。
吉岡さんがパタンと閉じても、またまたパカッと開く。
それから吉岡さんは天井を指差し「ホロですから、夏はココ(屋根)開けて走るんです!」と言いました。
遠い昔、八百屋のお兄ちゃんのオート三輪トラックで、市場に行った事を思い出させてくれる。
おもしい!なんて悪い乗り心地!
行ってやるぜ、走ってやるぜ、どんな悪路でも出てこいや~って感じだ!
”ところで、吉岡さんはどうして手話を習おうと思ったんですか?”
「いやー、あんまり人には言えないんですが、僕、子どもの頃に、近所に耳の聞こえない子がいましてね、その時は、その子の事が正直、なんちゅうかこう、苦手だなあって思ったんです。今思うと、ちゃんと話ができていればよかったなと思いまして」
なんちゅう純粋な動機なんだ!
私なんか私なんか・・・・ボケ防止・・・・。
ワイルドなジープは、ほんの10分ほどで我が家に到着。
じょっぴん(鍵)のつまみをもち上げクルリと回し、ドアを開け、よいしょっと飛び降りる。
”ありがとうございました。吉岡さんと講座で一緒なんて嬉しいです”
「いやあ、ぼくもです。頑張らないとなあ、はっはっは、したらまた・・・」
ジープは勇ましく走っていきました。
吉岡さんと手話が繋がるなんて、正直思いもしていなかった。私もそうだけどね。
見送ってから家の階段を駆け上がる。
お父さん、私、吉岡さんに会ったよ、してさ、ジープに乗ったさあ~~!