北海道・札幌発・だべさ通信5

早く止まった時間を動かしてくれますように

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兄が事故で逝ってから、もう16年が過ぎました。
1年過ぎても5年過ぎても、自分の中では兄の死を認める事ができませんでした。
他人が「おしい人を亡くしたね」などと言うと、心の中で沸き上がる拒絶反応を抑える事ができませんでした。
やっと素直に受け入れる事ができるようになったのは、10年も過ぎたころからでしょうか。

 

マスコミが、震災から1年が過ぎた被災者の方々を取材する光景をよく見ますが、その方達は、亡くなられた家族の分も頑張ろうと前向きに歩み始める光景でしめくくられ、まるでひとすじの希望の光が差し込んでいるかのように演出しています。
画面を通してしか見る事のできない私達は、それを本当の事のように受けとめてしまいます。

 

けれど、一瞬にして津波に飲み込まれた家族の死を、たった1年で心の中に受け入れるなど、できるわけがないのです。
時間は止まり、季節が巡るのでさえ、他所の世界のように感じてしまうものなのです。
また再び時計の針が動き始めるのには、オブラートをめくるように、少しずつ長い時間が必要です。
確かに言えることは、いつか心の中で現実を受け入れられる日が、きっとくるという事です。

 

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