正義のおばちゃんレンジャー参上

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駅の傍を通ったとき、自転車に乗って止まっている乙女に、るおじさんが、何やら話しかけているのが見えました。
そこを通りすぎた時、おじさんの「もうちょっと　こっち　引っ張ってごらん」と話しているのが聞こえます。
ん？振り向いてみたらなんと、彼女が乗ってる自転車の後輪に、フレアスカートが巻きこまれています。
春物の薄手のスカートは、車輪にピンと引っ張られて、ちょっとでも動いたら破れてしまいそうです。
偶然、傍にいたおじさんが、彼女に声をかけて何とかしてやりたいと思っているようだけど、そこはほれ、乙女のスカートをいじるなんて、男性のおじさんとしては気がひける。だからね、傍で、こーしてあーしてって言ってあげていたんだね。

 

 

こういう時こそおばちゃんの出番だわ！
戻って自転車の後輪の所へ行き、買い物袋を置いてしゃがみこみました。
どれどれ、あら〜・・・・・・
春らしい薄いピンク色した花柄が、黒い油の付いた後輪の中心部分に巻き込まれています。
このへんをチョイと引っ張ってみようかな。
グイグイ・・ダメか・・・こっちはどうだ？グイグイ・・ダメか。
こっちもあっちも引っ張って・・・最後の手段は、可哀想だけど、破いてしまうより手はないかも・・・・

 

 

そのとき、スルスル・・・・おお〜・・・スカートの生地は破れる事なくほどけました。
背後から、おじさんの「おお〜とれたあ〜」という声がします。
ま、まあ、こんなもんさ・・・・・ほほ

 

 

立ち上がった私に、乙女の「すみません・・」という小さな声がきこえました。
いえいえ、なんもです（どういたしまして）。
今日の私はなんだかカッコいいんでないかい。まるでヒーローみたいだわ。
こうして、”おばちゃんレンジャー”は、再び買い物袋をぶら下げて、去って行ったのでありました。
でもね内心、ほっとしたのは私の方さ。ほ〜んといかったわ、偶然引っ張ったところがほどけてさ。