北海道・札幌発・だべさ通信5

法事・・・婆ちゃんと多分最後の旅 その3

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その日はホテルに泊まって、翌朝、礼服に着替えてから法事に向かう予定でした。
朝6時半、婆ちゃんと、婆ちゃんの妹の富丘のおばちゃんが泊まっている部屋に様子を見に行きました。
ドアをコンコン、
「おはようございます・・・・あら」

 

 

婆ちゃんは、もうすでにすっかりまかなって(身支度を整えて)杖を握って帽子もかぶり、ベッドに腰掛けていました。
「いくら何でも早いっしょ。法事は10時からだし」
「いや、もう行くべ!」婆ちゃんは帽子を脱ごうとしません。
おばちゃんを見れば、あきれ顔。
「ぽぷらちゃん、ちょっと聞いてや。姉さん(婆ちゃん)たら今行くったら行くって言って、ま~言う事きかねってば!」
はあ・・・・・・・

 

 

あとで聞いた婆ちゃんの話しによると、
「妹ったらよ、朝の3時半から起て、オラに”ちゃんとせ(きちんとしなさい)とか、”さっさとまかなえ(身支度しなさい)”とか言うんだもな。オラ腹くそ悪いから、”あ〜あ〜、支度してさっさと行くってば!”ってケンカしてやったべさ。はっはっは」だってさ。
でも、たいていは、どっちもどっちなんですよ。

 

 

さて実家では、婆ちゃん姉妹の母親の法要が始まりました。
和室を3つ開け放した広い座敷には、花に包まれた特別な祭壇が設けられ、お経が流れて始めました。
私が座った長い縁側からは日が差し込み、黒の礼服がポカポカ暖かい。
線香のけむりが縁側から軒に登って、一本杉から作ったという横柱にあたって外に消えていきました。
うわあ、なんて奇麗な光景なんでしょう。

 

 

ヒザの向こうに目をやると、縁側の石段の上に、誰かが脱いだ靴が置いてあります。
おや?靴の内側になんか書いてある。
黒い油性マジックの太ペンの方で、大きく『宍戸』、もう片方にも『宍戸』と書いてあります。
はは〜んなるほど。みんな黒くて同じような靴だから、間違わないように名前を書いたんだね。
これだけ字が大きけりゃ間違いようがないね。それより靴下にインクがうつらないのか、そっちが心配だわ。
あれまびっくり、なんと内側の側面にも、太文字で『宍戸』と書かれています。
のどかだね。

 

 

お経が終われば、姉妹の喧嘩はどこへやら。
他の姉妹、親戚が集まれば、もう、何をしゃっべているのか、私にはさ〜っぱりわかりませんでしたとさ。

 

婆ちゃんの実家の家には、家の中の神棚の他に、家の前と後ろにも神様がいらっしゃいました。
毎朝、実家のおじさんが塩をお供えしてお祈りをするんだそうです。
この神様は家の後ろの神様です。

 

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