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冬の歩道と車道との間には、除雪でできた巨大な雪の壁ができる。
街の中なら歩道はたえず除雪されるが、郊外ともなると、歩道の片一方だけだったり、住宅街なら歩道そのものが雪に埋もれ、車道を歩かなければならない状況にもなる。
ここ数日は雪かきはしないですんではいるが、中途半端な気温が歩道をツルツルのデコボコにしている。
こんなときの歩き方は、やや小股。足を踏み降ろしたときの体重移動における体勢の立て直しには、かなりの難易度が必要になる。
さらに、滑った時の運動反射を年齢的に考えると、とっさの自分の手が、受け身として役にたつとは考えにくい。
以上の事から、歩く難易度を5段階で表すならば、今日の道はまったくもっての最高のレベル5と言わざるをえない。
にもかかわらず、最高難易度の雪道を容易に歩く特殊能力を、北海道民は自然と中で身につけてきたのだ。
しかし、難易度に集中するあまり、ややもすると、欠落した感覚を生み出してしまう事もある。
たとえば、この歩道だ。
難易度5の歩道を順調に進んでいるかのように見える。
ところが、ふと向こうを見たら、歩道が急に消えているではないか。
な、なしてだ!
よく見るとそれは、今歩いているのは雪かき用の道だったのだ!
つまり、そこの家の人が ” ママさんダンプ ” で雪を捨てやすいように、歩道の部分に作った道だったのだ。
ちゃんと前見て歩けば、わかるのに、足もとばっかし見ていた結果だ。
もうこの先に道はない。
しかしこのまま進むしかないのだ。
自分と同じように、前の状況を把握できずに迷い込んだ者どうしの苦悩の痕跡が、自分にもやればできると励ましてくれているではないか。
今の自分に必要なものは、周囲の状況を的確に把握する事であるにちがいない。
そしてそれこそが、冬道における歩き方の難易度をも克服する手だてになる、と私は信じているのだから。
およよ・・・・・