北海道・札幌発・だべさ通信5

シカも飛び出す道東だべさ

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雲の中の美幌峠は幻想的だけど、このままでは体もしけっちゃう。
予定では、摩周湖から阿寒湖へと進む予定でしたがここで変更して、このまま根室まで走る事にしました。

 

 

 

 

 

 

途中の別海町は、人より牛の方が多いんだと。
どこを見ても、広〜い牧場が続いています。
最初の天気の洗礼に、少々テンションが下がり気味だったその時でした。

 

 

ゆるい左カーブを曲がると、いきなり反対側の草むらがワサワサっと揺れて、白い水蒸気のようなものが舞い上がりました。
なんだ?
ガバっと後ろを振り向くと、路肩の下の草の間から、白い乗用車のお尻が見えました。
「お父さん、車落ちた!」
キキキ・・・
車をバックさせて、旦那さんが駆け寄って行きました。

 

 

まもなく、左に大きく傾いた車の運転席が開いて、作業服姿のお兄さんが出てきました。
(ここからは、旦那さんから聞いた会話)
「怪我してないかい?」
「いえ、大丈夫です。だけど、やっべえなあコレ。オレ、どうすればいんだべか」

 

 

「警察に連絡するかい?」
「あ、いえ、警察はまずいっす」

 

 

私も車から降りて、お兄さんの所へ行ってみました。
すると、作業服の腰のあたりが真っ赤に染まっています。
「あ!怪我してるう!」
「え?あ、ああ、これはペンキですよ」
「な、なあんだ、びっくりしちゃったしょや」
「すんません、携帯充電されてないもんで使えないんす、充電器持ってませんか?」
それより私の電話使って下さい!

 

 

時刻は朝の7時半頃です。お兄さんは会社へ電話をかけました。
「誰か、いるかなあ・・・・・・あ、もしもし!山田ですう。今シカが飛び出してきてさ、避けたら道路の下に落っこっちゃって。すんませんが助けお願いします」

 

 

あと数秒、私たちの車の方が早かったら、シカは私たちの前に飛び出したかもしれません。
特に朝は、シカ達も朝食の時間。見通しのよい牧草地まで降りてくる事も多くて、道路は彼らの横切る通り道でもあるのです。
「いやあ、どうも、有り難うございました。今、会社の仲間がやってきます。こちらにはキャンプですか?」
お兄さんは、ちょっと落ち着いたようです。いかったね。
それじゃあさようなら。

 

 

私たちは再び走り出しました。
でもね、ついさっきまで、下がっていたテンションはどこえやら。
そこの草むらからシカが飛び出してはこないかと、後部座席の私は、前のシートの背中にしがみつき、目の玉をまん丸くしながら偵察していたのでありました。

 

 

 

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