PR
婆ちゃんがタンスの奥から取り出してきたものは、年期の入ったビニールのショッピング袋。
カシャカシャと広げて覗き込み取り出したのは、グレー色した真新しい毛糸の束でした。
それは、糸を巻いて玉にする前のもので、1つの束を5つ(5カセ)集めてねじった大きな束がふたつ、10カセ分→(こんな状態
タグの紙がシナっとしてて、そのシワシワがなんとも年代を感じさせました。
「これよ、どすんだあこれ。タンスに入れておいしても仕方ないべさ。母さん、これでモモヒキ編んでもいいべよ」
婆ちゃんはそう言って、ズボンを下ろして、中に履いている毛糸のモモヒキを見せました。
中細の2本どりであんだと思われる、色とりどりシマシマ、ウェストゴムが大胆なそのモモシキは、婆ちゃんにとってはとても履きやすいらしく、暖かいのだそうです。
「こんなふうに、編めばいいべよ」
はあ・・・・
でも確かに、こままタンスの肥やしにしておいてはもったいない。
糸を巻き取るカセくり器は、もうとっくにどっかにいっちゃったし、このうえは自分で巻き取るしかないね。
糸は、大きな輪ゴムの束状態になっているので、床に座った足を投げ出して、その束を両足のコウにかけて、糸の先端を持ち、そこからクルクル巻いていきました。
屈伸運動でもするように、巻き巻き手を動かしながら足に引っ掛けてある束から糸を巻き取っていきます。
懐かしいなあ、もうこんな事しないと思っていたもの。
でもさ、あら?なんだか昔と感じが違う。出っぱったお腹がさ、屈伸の邪魔をしちゃってるわ。
そこに次男が部屋から出て来ました。おお〜〜ちょっとちょっと、コレ、ね、腕に引っ掛けて、こう持ってみて。
「こうかい?」
そうそう、それでさ、お母さんが糸を巻き巻きするから、あんた持ってて。
クルクルクル・・・・
あのさ、あなたの腕も、お母さんが巻き取りやすいように左右に動かしてよ・・こうやって・・・
そうそう・・・
私が小学生だった時に、母とやってた事の、まさに世代交代だわ。
遠い昔、学校に行けばクラスの必ず誰かは手編みのセーターを着ていました。
形やデザインはみんな、そこそこさ。
その中で、どっちかの腕に、2本の線を編み込んでいるという定番のデザインがありました。
クラスの必ずっていいほど、誰かがそのデザインのセーターを着ています。
当時のクラス写真を見ると、ほらいた、この男の子の腕に、腕章のように2本の線が編み込まれているっしょ。
今思うとさあ、それって、時代劇によく登場していた、”罪人”の印の腕の入れ墨みたいでないかい?
知らない?昔はよくあったんだよ。
『悪人が人を脅すシーンでさ、着物の袖をサっと上げるワケさ。するとその腕には2本の入れ墨が!
「オレはよ〜、昨日 島(流し)から帰ってきたばかりなんだよヘッヘッヘ」それを見た団子屋の主人はおびえて、
「お代はいりません!」』
なんて言うワケさ。
話しが脱線しちゃったわ。
それにしても、”ももしき”かあ。
編んだ事ないけれど、上手にできるかな。
に挑戦中です!ポチっとして頂けるとランクup。励みになります。