北海道・札幌発・だべさ通信5

爺ちゃんの話し相手に

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80歳をとっくに過ぎてる近所のお爺ちゃんが、玄関前の犬小屋の回りを掃除しています。
こんにちは。あれ?レオいないんですか?
レオと言ってもメス犬です。
「いなくなっちまったんだよ」
「ええ!迷子になっちゃったんですか?

 

 

「いやあ、きっと違うな。もう帰ってこんさ。このあいだの土曜日さ、いつもならちゃんと玄関の中に入るのに、ワシの手をくぐって行っちまったのさ」
「きっと今頃、何処かで迷っているかもしれませんね」

 

 

「いやあちがう、ちがう!!」
お爺ちゃんは、私の言う言葉をさえぎるように、うつむきかげんで手を横に降りました。

 

 

「あいつはなー。死に場所を探しに行ったんだよ。ワシにはわかるのさ」
白い半袖シャツの後ろ姿が、いつもよりしょんぼりして見えます。

猫は自分の死期の察知すると、飼い主に死の姿を見せまいと、そっと家を離れるのだという事は聞いた事があります。
犬も死に場所を探して歩くのかな。

 

 

「もうこれで、話す相手がいなくなっちまったよ。たった一人の話相手だったのに」
「そ、そんな事ないですよ」
「話し相手を見つけなきゃいけんな」
「そうそう、お隣にお婆ちゃんもいるしね」
「ダメダメ、やっぱ彼女は若くなきゃ。あんたくらいの年増も、もうダメだよ」
・・・・・大きなお世話だわ。

 


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