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あら？向こうでチョロチョロ歩いているのは犬？
近づくにつれて、痩せた体に細い足が見えました。
キツネ！
黒いハイソックスをはいているのが、キタキツネの特徴と聞いた事があります。
私が傍を歩いているのに怖がるそぶりも見せないで、距離をおいてウロウロしてる。
それにしても、毛並みが乏しいキツネだこと。
シッポなんか芯しかないしょや。
私がこの辺で最後にキツネを見たのは、もう何年も前の事です。
今じゃこんなに住宅も増えて車だって沢山通るというのに、山から下りて来る理由があるとすれば、やっぱり食べ物がないからでしょうか。
それにしてもあんた、痩せてるね。
先日の『陸のカモメ』もそうだけど、野生の動物達は生きていくだけで必死なんだよね。
なのに私ったら、ぬるま湯に浸かっているのにグチが多いわ、この体型が物語っているも。
人間の住む街に手袋を買いに行った小ギツネのお話がありました。
お店の戸のすき間から、人間の手に変えた片方の手でお金を差し入れるはずでしたが、間違ってキツネの手の方を入れてしまいました。
でも、優しいお店の主人は、小ギツネの手に、ちゃんと手袋をはめてくれました。
でもキミ、早くお帰り。
そっちは町だよ、山はこっち。
現実は厳しいよ。
キツネとわかっているキミに、もう手袋をはめてくれる優しい人間は、いないにちがいないのだから。
