雪虫というと、冬になる前のわずか数日間だけ、あたりをふわふわと飛ぶ白い虫を思い浮かべます。
北海道では初冬の風物詩にもなっています。
こちらが、冬になる前に飛ぶ雪虫です。
春の雪虫たちはどこにいる
雪虫(本名は『トドノネオオワタムシ』)が、雪のように飛び交うのは、初冬のほんの数日間。
他の季節はというと、なんとその子孫たちが1年の間に数回の世代交代と住む場所変えながら生きているのです。
冬の間は、ヤチダモやアオダモ、ハシドイといった木の幹に卵で越冬しているそうです。
雪虫たちが越冬する木の一つがこのヤチダモです。
春になって卵から孵化した雪虫は、ちょっとは白いフカフカはあるものの、初冬の雪虫のように団体で飛んだりはぜず、次の世代の子供達のために、ひたすらこの木の樹液を吸って栄養を取るのが役目です。
そして夏ころには次の世代の赤ちゃんを産んで一生を終えるそうです。
ちなみに夏に生まれた雪虫たちは、今度はトドマツの木を探して旅をするそうです。
なんと、そこで蟻にお世話になるんですと。
ヤチダモや蟻といった自分たちを助けてくれる相手を求め、姿や形までも変えて生きることが、小さくてか弱い雪虫たちが子孫を残すために考えた知恵だったんでしょうね。
今頃ヤチダモの木の中では、ムズムズと雪虫の卵たちが目を冷ましているのかもしれません。
雪虫って不思議な生き物ですね。
この木の中に、いったいどれくらいの雪虫の卵が眠っているんだろうと思うと、あんた、むずかゆくないかい?とヤチダモに聞いてみたくなる。
でも、1本の木の中に沢山の虫たちがいることで、小鳥たちも命を繋ぐことができるということなんですね。