PR
夕方、町内会の用事で近所のお宅に出かけました。
ご主人らしき方が庭にいたのでちょうどよかった。
「あのすみません、奥様はいらっしゃいますか?」
『あんただれ?』
そのおじさんは土をいじりながら私を見上げました。
「あ、あの私 町内のぽぷらと申しますが、奥様に役所からの書類をお届けにきました」
『なに、役所?』 おじさんはちょっと驚いて、役所から来たにしては間違いなく怪しい おばちゃんを、疑いのマナコで見ています。
「いえいえ、私は町内会の者ですよ。ほら、この道を右に曲がった所の・・ね。役所から配布された書類を奥様にお届けにきたんです」
けれどもおじさんには、どうも私がうさんくさく見えるらしいのです。
『ほんとかなあ〜。あんた、ホントに町内の人なの?俺は知らないけどなあ』
そ、そんな〜。
そうだ、こうなったら奥の手があった。
「そ、そういえば、ウチの爺ちゃん(義父)は、こちらの亡くなられたお爺ちゃんとは仲良しで、いつも町内会でお世話になっていましたもね~ほほほ」
するとおじさんが、やわら立ち上がりました。
やっと信じてくれたようだわ。
『そうかな〜、 爺さんの話しをされてもさあ俺は知らないんだよね〜』
ガガーン
と、とにかく、書類だけでも渡しておかなくっちゃ。
おじさんは、差し出した書類を見てから、
「あんたさあ、この書類にさあ、お宅の電話番号書けるの〜?書いたら少しは信じるけどさあ。それにカミさんは今いないよ」
うえ〜〜〜〜ん。もうちょっと早く言ってよ〜。電話番号も書きますよ、はい、スラスラスラ・・・
「ではよろしくお願いします」
危なかった。
実は私が何を隠そう悪の元締め、タレ目のお竜だってことを見破られるところだったわ。