北海道・札幌発・だべさ通信5

婆ちゃん、お巡りさんに意見する

PR

 

ピンポ〜ン。
誰だろう、こんな朝早くから。今何時だと思ってんの?6時だよ。せっかく休みっだていうのにさ。
インターホンを取って『はい』とでてみると、
「おはようございます。警察の者ですが」
ええ!!けいさつ!!
「ちょっと待って下さい!」
もしや事件?それとも熊でも出没したのか。
とにかく、パジャマを着替えないと・・ドタバタと階段を降りて玄関に出てみました。

 

 

ドアを開けると、若いお巡りさんが立っています。
「おはようございます。あの、昨晩なんですが、この公園のあたりで怪しい人物を見ませんでしたか?」
なんでも、公園で火遊びらしい跡が見つかったそうなのです。
『怪しい人物?さあ、時々若者達が騒いでいる時はあるけれど、特別大きな音はしなかったし、そうだ、婆ちゃんなら知っているかも』
「そうですか、是非お願いします。

 

「お婆ちゃん!あのね、お巡りさんが、婆ちゃんに聞きたい事があるんだって」
婆ちゃんは奥の方から、
「なにい!?母さんや、昨日、佐藤の婆さんが持ってきたお土産、仏壇から降ろして食っぺ」

「お婆ちゃん!あのね、お土産じゃなくって、お巡りさんがね、婆ちゃんに聞きたい事があるんだってさ、ここにきているよ」
「え〜!!なんだってえ?ありゃきっと温泉まんじゅうだな、開けてみれや」

 

 

「お土産は、後でいいから。あのね、お・ま・わ・り・さん、が来ているよ」
婆ちゃんが玄関に出てきました。曲った腰を少し伸ばしてみたら、そこにはお巡りさんが立っているので、ビュンといきなり腰が伸びました。
「あれ、お巡りさん!」
お巡りさんは、肩の無線から聞こえてくる情報を気にしながら、「お婆ちゃんに聞きたい事があるんですよ」と、公園の火遊びの事を優しく話しました。

 

 

「さあ、私は知らないね〜。それよりお巡りさん、私思うんだけどね、公園の手前の木、ありゃ切ってもらわないとダメだべよ。中が見えないべさ」と、腰に手をあてて、胸をはって言いました。
お巡りさんはちょっと困って
「そうですねえ、見えにくいですよねえ。それでお婆ちゃんは誰かの声とか聞きませんでしたか?」
「昨日は寝ちまったもなあ。わたしゃ、公園の木がダメだと思うんだなあ。中が見えないべさ」
「そ、そうですねえ・・・」

 

 

「朝早くからご協力、どもうありがとうございました」
お回りさんはメモを取り終えると、パトカーの方に戻っていきました。
婆ちゃん、お巡りさんに意見するなんて、なかなかやるな。
確かに、手前の木が大きく育っていて、奥の方が見えないのは良くないような気もします。
昼間の公園はいいけれど、夜は逆にぶっそうです。

 

 

気をつけないとね。
「んだなあ、あの手前の木を、なんとかしないとダメだべよ」んん、そうだねえ。

 

人気ブログランキング
に挑戦中です!ポチっとして頂けるとランクup。励みになります。