北海道・札幌発・だべさ通信5

婆ちゃんのビックリにびっくり

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婆ちゃんの部屋に入る時は、なるべく声をかけながら入るようにしています。
耳が遠いので、こちらの存在を知ってもらうためです。

 

だから今日も
「トントン、婆ちゃん入るよ~」と言いながらドアを開けました。
あれ、いない・・・
「婆ちゃん・・・」
婆ちゃんは、むこうの部屋の背もたれのない椅子に腰掛けて窓の外を眺めていました。

 

 

スタスタスタ・・・
「ばあちゃ・・・」
『んがあ”〜っ!!』
今までヒザの上に乗っていた婆ちゃんの両手は、とっさに胸のあたりに飛び上がり、こちらに向けた手のひらはブルブルっと左右に震えました。
両足は畳を蹴り上げ、その拍子で椅子の足が2本、浮き上がりました。

 

 

『おう〜びっくりしたあ〜〜、母さんか。心臓止まるとこだったべ』
いやあ、こっちも婆ちゃんのびっくりにびっくりしたあ。
でも、びっくり止まりでいかったわ。

 

 

もしこれで婆ちゃんの心臓が止まったら、私は一生、罪の意識にさいなまれる事になるも。
それに、自分が三途の川を渡る順番になった時、先に行ってた婆ちゃんがむこう岸から
『母さんが驚かしたせいで、おらは死んじまったべよ~~~どうしてくれんじゃ~~』と言ってくるかもしれない。
そうなったら怖わい・・・・怖くて死んでなんかいられない。

 

 

これからはもっと気をつけよう。
婆ちゃんがむこうを向いているときは、
「婆ちゃん・・おっほん・・へ〜くしょん・・・婆ちゃ~~ん・・」とか言って、慎重に近づくようにしなくっちゃ。

 

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