春の横断歩道

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札幌の街は歩道も車道も、ほとんど雪が消えました。
あとは、すりゴマをまぶしたような汚れた雪が、残骸のようにあちこちに残っているだけです。
けれど街はすすけ色で、雪の下から現れたゴミや砂ボコリ。中華屋さんの赤い看板さえも、ネズミ色した風景に負けてしまいそうな、色のない季節です。

 

 

ところがね、横断歩道の前に来てみると、まあそこだけ光って見えます。
”さあ、どうぞ”というように、横一文字の線が真っ白に塗り替えられていました。
線を引くために書かれたチョークの下書きも真新しい。白いペンキが朝日に輝いて初々しく見えます。

 

 

さあ、渡るよ。
真っ白な横断歩道は、お日様を反射して、私もちょっと輝いて見えるかもしれないよね。
両サイドに止まっている運転手さん達の前を歩くんだから、まるでステージを歩くみたいでないかい。こけないように、ちょっと緊張して渡りました。

やっと、春がやってきた・・・・
光る横断歩道は、緑がもえるまでのわずかな時間だけ、花より先に目を奪ってくれる春の風物詩です。