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婆ちゃんの扇風機は、旦那さんが子供の頃から使ってたというから、かれこれ40年以上にもなるのかな。
どっしりしていて、羽以外の殆どが、がっしりした金物です。風力の調節ボタンは、背が高いサイコロみたいな形で、押すとガチャッガチャッっと”押してるぞ！”って実感できるボタンです。
今でも現役だからすごいよね。
「んだよー、昔のもんは丈夫だもなあ」
婆ちゃんに褒められた扇風機はガンガン回っています。
だけどもね、ほら、最近古い扇風機を使っていて火が出るって事故があるって言うじゃない。
だからこのさい買い替えた方がいいんでないかい。
私達の話を横で聞いてた扇風機は”やっべい！”と思ったのか、首も振って大サービス。
でも、物を大事にする婆ちゃんは「まだいいべよ」と言って、なかなかその気にならないまま、8月も終わりになろうとしていました。そこで、旦那さんがモーターの所を触って、「これ、熱くなってるぞ、火事になるぞ」と脅かしておきました。
したっけさ、さすがにそれが効いたらしく、婆ちゃんは「おっかないから、やっぱし新しいの買うべ」と言い出しました。
それじゃあとりあえず、こっちの茶の間の扇風機を使えばいいよ、後で買いにいくから。
という事で、哀れ『ゼネラル』の扇風機は、即 燃えないゴミに出されてしまったのでありました。
じゃあ買いにいこう！
ところが、どこに行っても扇風機がない！まったくない！
羽のない扇風機とかいう豪華なものは買えないから、羽がクルクル回る方でいいんだけれど、それがもう何処にも売ってないんです。
今さら、婆ちゃんの部屋から扇風機を奪ってくるわけにもいかず、茶の間では、ウチワで顔をバタバタ、腕をパタパタ、襟をつまんで胸元パタパタ、そして、誰もいない時にスカートの中をバタバタしている私です。
早く・・・・早く秋になっておくれ・・・・
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