歯ぐきには赤チン

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その日のお昼、婆ちゃんの歯ぐきと唇の所々が赤く染まっていました。
「あら？婆ちゃん、歯ぐき痛いの？」
「痛いもなあ」

 

 

婆ちゃんの歯ぐきの赤い色は”赤チン”です。
時々、歯ぐきが痛い時があるようで、そういう時は入れ歯は入れず、自分で赤チンを塗るんです。
それが時々はみ出ちゃうもんで、唇も所々赤く染まるのです。

 

 

もちろん、私達は赤チンはそんな所に塗るもんじゃないのは知っています。
でも、婆ちゃんは昔から、塗り薬と言えば ”赤チンキ” か ”雪の元” か ”メンソレータム”。
お腹が痛い時は ”赤玉” です。
唇の赤チンは今までにも何度かやっているけど、お腹が痛くなった事はないようなので、病院以外の薬を飲めない婆ちゃんの事情もあって、本人のやりたいようにと思っています。

 

 

でも赤チンって、簡単に落ちないでしょ。
つけた次の日は濃いピンク色に、
そして次の日は、ちょっと濃いピンク色。
3日もすると、薄いピンク色になりました。
歯ぐきも治ってきたらしく、ピンクのなごりの歯ぐきの上に、入れ歯が入りました。

 

 

私「ねえ、婆ちゃん、赤チンって効く？」
婆「効くんでねえか。赤チン付けてからもう痛くねえもな」
私「へえ〜効くのか」

婆「でもな、やっぱし治るのに3日はかかるもねあ」
私「そっかあ。やっぱし3日くらいはかかるんだ」
婆「あんたも赤チンやっか？」
私「いやいや、私は今のところは大丈夫だから」

歯ぐきの痛みが赤チンで治ったかどうかはわかりません。
でも、赤チンの色が消えたころ、婆ちゃんの歯ぐきも復活しました。