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格納庫の扉を持ち上げた。
人はそれを物置のシャッターと呼ぶけれど、半年ぶりの再会だもの、今の私には確かにそう見えるのだ。
ガラガラ‥‥扉を開けると薄暗い奥の方から、すすけた黄色いボディが、はにかんでいる。
『私はここだよ』
おお、会いたかったよ自転車流星2号。
雪が溶けたよ、またよろしくね。鼻先をちょっとこすると、そこだけ新品のようにキラリと光った。
あれは確か4年前の秋。
当時の流星1号を仕事先の駐車場にとめておいた時、どっかの爺ちゃんの運転する車がバックしてきて、1号に接触。
後輪がつぶされてひん曲がった。
なのに爺ちゃんはその場を走り去り、1号は哀れ五百円の大型ゴミシールを貼られて、収集車に乗せられて去っていったのだ。
ところがそれを知った事務所の方が、新しい自転車を買って下さると言い、気の変わらぬうちに大型スーパーへ直行した。
とはいえ季節は晩秋。
店員さんは
「もうこれしか残っていないんですよね~」と言って、隅に残されていた黄色い自転車を指差したのだ。
流星2号は今ではすっかり私になじんで、雪が溶けるたびに大切な相棒になってくれている。
友人に「時々あなたが自転車で走ってるのを見るよ」と言われたことがあった。
「あらそうなの。私の自転車黄色で目立つから」
「何言ってんの。ハッチャキでこいでたからさ」
「そう見えた?」
「見えた見えた」
そ、そうでしたか。これからはおしとやかに走ります。
ね、流星2号。キラリ〜〜〜ン