北海道・札幌発・だべさ通信5

むなしいヒラメ

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やった!お昼は私の中でのステイタス、回転寿しだぞ!
お昼時のお店は、あいにく満席。
少々なら待とうかと、水槽の前のイスに腰掛けました。
深い水槽の中には、イカが1パイとヒラメが1匹入っていました。

 

 

あら、このヒラメ・・・・ヒレをフリルのようにクネクネして泳いでいるヒラメの鼻が、こすれて白くなっています。
水槽の中を行ったり来たり、上がったり下がったり。
こんな狭い水槽に入れられているんだもの、あっちこっちにコンコンしちゃうよね。
よく見ると、他にも二匹のヒラメが水槽の底でじっとしています。あら、気づかなかったわ。
このヒラメだけが、鼻の皮がむけてもなお、あきらめずに脱出方法を探しているのか。

 

 

すると、大きなボールと網を持った板さんがやってきました。
踏み台を置くと、左手にボール(入れ物)を持ち、右手に持った網をスーっと水槽の中に入れました。
私達の目の前だったので、板さんはニコニコしながら「ヨイショ・・おっとっと・・逃げるなよ~」とか言いながら網をくぐらせます。

 

 

当然のように、人生あきらめずに逃げ道を探していたヒラメが、プカプカ浮いてて一番捕まえやすいしょや。
はたして、鼻先皮むけヒラメは、哀れ板さんの網にスッポリ入ってしまいました。
大きなボールの中をピチャピチャ跳ねてるヒラメを、坊やが珍しそうに覗き込んでいます。
「ほら、生きているよ」板さんが坊ややお客さんにアピールします。
そして、そのボールを高く持ち上げ、
「はい!只今ヒラメ入りました~!!」と言いながら、クルクル回るお寿司のカウンターの中へと消えていきました。
”ヒラメちょうだい!”
「ハイ、ヒラメですね!」
”こっちもヒラメね”
「ハイ!ヒラメかしこまりました!」
あら~、なんだかむなしい あのヒラメ。

 

 

「ぽぷら様~、お待たせ致しました、14番テーブルにどうぞ」
待ってました!その途端、むなしいヒラメが消えちゃった。あ~お腹すいちゃった。
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