PR
■ 曲がった腰もポジティブなら楽しい
ヒデ子お婆さんは、80歳をとっくに過ぎているけれど、一人で元気に暮らしています。
日陰の雪がまだ残っている畑の隅で こごまって何か作業をしているみたい。
草をほじっているのかな。
草色のアノラックがすっかり板についていて、遠くから見ると、しゃがんでいるその姿はまるでそら豆みたいでかわいらしい。
「せいがでますね」
「おやおや、こんにちは。どっこいしょ・・っと」
ヒデ子さんが立ち上がると、草色のアノラックの下から真っ赤な長靴が現れました。
「あらかわいい、赤い長靴似合ってますよ」
「フッ・・そうかい。いやあ長い時間仕事すると こわいわ（疲れるわ）」
そう言うと、空を見上げるように、ゆっくり腰を延ばしました。
「今年も畑、楽しみですね」
「いやあ、わたし、畑なんか嫌いだったんだよ。畑は旦那がしてたのさ。だけど死んじゃったっしょ。草ボーボーにしとけないから、しょうがなく60歳から始めたのさ。わたしゃ小さいから、この広さでも大変さ。おまけに最近は腰も曲がってきちゃったしなー・・・・でもね、腰が曲がるとスコップで耕しやすいって特典がついてんの」
■ そんなら自分も持っていた特典
「ほらそこ。エンドウ豆植えたんだよ、全部私が自分でスコップで耕したんだよ」
すぐそばの、たたみ三畳ほどの土がこんもりしています。
「あら、それなら私も特典付いてます。下半身が重いので、ちょっとやそっとの風には吹き飛ばされませんから」
「おやそうかい、いかったね。はっはっは」
はっはっは はっはっは
初めてわかった、この重心の低さは『特典』だったんだね。
■ ポジティブで考えれば特典になる
お婆さんに教わっちゃった、このぽっこりお腹も、短い足も、考えようによっちゃあ特典になる？？
楽しく会話ができたのは、この特典のおかげか。
ポジティブで考えれば、この体型も、まんざらでもない？？？・・・んなワケないけど。
