婆ちゃんと私 どっちもどっち

その１・・・・婆ちゃん　編
昨日の婆ちゃんの病院には、旦那さんが付き添ってくれました。
ご苦労様、どうでした？
「調子いいってさ。だけど先生が困っていたべさ」
あらなして。
「婆さんが、目の塗り薬をくれって先生に言うんだけどさ、先生は点眼薬しか処方してないって言うんだわ」
そうだよ、だって、点眼薬しかもらってないもの。

婆ちゃんは「だっておら、こないだ塗り薬もらったもな」と言いました。
え、お婆ちゃん、もしかしてあの薬を塗ってたの？
「んだあ、目の回りがヒリヒリすっから、こうやって（ひと差し指で、薬をすくうしぐさをして）こーやって（目の回りを丸く塗り塗りするしぐさ）やってたも」
あら〜・・・・
考えてみると、飲み薬を飲む姿は見ていても、目薬をさすところは見ていませんでした。
ま、まあ、たいして違いはないけどさ、今度からはポタっと落としたほうがいいと思うよ。

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その２・・・・私　編
あづい〜・・・街で用事を済ませて戻り、どっかと事務所の長椅子に腰掛けたとたん、ひたいや背中や、体中から汗がじわ〜〜〜んとにじんできました。
フ〜、ダメだ、我慢できないわ。履いていた靴下を、その場で脱いでポンと床に置きました。
おや、家の前に車が止まりましたよ、あら長男の車でしょや。

長男は入るなり「ちょっと物を取りにきたから、後輩待たせといて」と言って、さっさと自分の部屋にかけ上がりました。
「おじゃまします」
あ、あら、どうぞどうぞ、息子がいつもお世話になっております・・・こちらにお掛けになって。今、冷たいコーヒーでも入れますね。
「有り難うございます」
今日は暑いですね、ホホホ・・・
長男は上がったと思ったらもう降りてきて、「さあ、行くぞ」コーヒーを飲む暇もありません。
「お邪魔しました」いえいえ、なんのおかまいもしませんで・・・・・

ゲゲ！！後輩さんの足元に、私の脱いだ靴下が・・・・・
ど、どうもすみません！！今帰宅いたしましてその、暑くて靴下を・・・
「いえいえ、では失礼します」
・・・・・がびょ〜〜〜ン。息子よ、迷惑かけてごめんね・・・・

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その３・・・どっちもどっち
畑仕事をしていた婆ちゃんが事務所に入ってきました。
「母さん、そこの自動販売機の下の石の間にな、な〜んか金みたいなもんが落ちてるぞ。光ってたも。おら指さ入れたけんども取れねえから、見つかんないように端っこの方にポイポイって転がしておいたわ」
「なにそうかい、それじゃあお母さんの出番だね」
自販機の土台と石の隙間に、キラリと光るものが見えました。

しゃがんで、指を入れても届きません。
おや、道路の反対側を歩いて来るおじさんがいます。
”まいったな〜ジュースを買おうと思ったら、お金落としちゃったりなんかして〜・・・・・”行っちゃった・・
今度は鍵を使ってほじほじ・・取れました、50円玉。

「婆ちゃん、取れたよ、ほーら50円玉」
「いかったな〜〜」
穴の開いた50円玉なのに、婆ちゃんと顔を見合わせ、ちょびっと幸せな気分だね。

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