北海道の洞爺湖の神になった2人の若者の伝説です。
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それは北海道がまだ蝦夷(えぞ)と呼ばれていた頃のことです。
北海道の南にある松前(まつまえ)というところに、ある武士の家族が住んでおりました。
この家には、女がふたり男がふたりの4人の子どもがいました。
ふたりの男の兄弟のうち、兄は剣道が強く、勉強もよくできました。
けれど弟の方はいうと、剣道を一生懸命に練習しても強くはなれず、勉強は読む事も書くこともさっぱり上達しません。
こんなことでは立派な武士にはなれないと、母親も、姉達もとても悲しみました。
そしてとうとう、父親が言いました。
「お前のような者がいると、お殿様に申し訳ない」
弟は、自分がこの家にいると家族に申し訳ないと思い、仕方なく家を出て行く事にしました。
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弟は、あてもない旅を続け、いつしか名前も知らない大きな川にたどりつきました。
すると、その川岸に、自分と同じくらいの年齢の若者が座っています。
若者は、弟と同じように短い刀をさしていて、まるで自分の事を昔から知っているかのようにニコニコとこちらを見て挨拶をしました。
そして、ふところから折りたたんだ手紙を差し出しました。
”こいつ、おれが読み書きが苦手な事を知っていて、わざと難しそうな手紙を見せたのか?”
腹を立てた弟は、刀を抜いて若者に切りかかったのです。
けれど若者はヒラリと身をかわして飛び跳ねると、大きな川の向こう岸に、あっというまに舞い降りてしまいました。
こいつめ!
弟は、若者のあとを追って飛びはねると、どうしたことか、体は宙に浮いて若者と同じように舞い上がったではありませんか。
若者は言いました。
「あんたも、幼いときから剣道が苦手で読み書きも苦手だったのだろう?それで、家を出されたんだね。この川はサンピタラという川で、この川の神が私にこう言ったんだ。『私のところに神の国から手紙が届いた。手紙にはアブタというところに大きな湖があるから、正直で賢い人間の若者ふたりに湖を守らせてほしい。けれど、始めから立派な若者に成長すれば、家族は家から出す事はしないだろうから、わざと、神の力で彼らの本当の力を隠しておいた』と」
仲直りをしたふたりは、6日間もかかって、ようやくアブタの湖までやってきました。
そこで、お酒を酌み交わしているうちに、不思議な力が湧いてきて、ふたりは人間の国も神の国も見えるようになり、アブタの湖の2つの島で神になったということです。
この湖が、洞爺湖だったのです。
洞爺湖は今でも、この二人の神様に守られています。
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お話の中にでてきた『松前の武士』というのは、明治になるまで北海道に唯一あった藩の『松前藩』のことかなと思いました。
長男意外は家から出ていかなくてはならない時代でしたね。
アイヌの伝説にも、同じようなお話があります。
そっちの方はというと、のちに2人には優しい花嫁がやってくるというものです。
アイヌのお話が、和人の話にに置き換えられてできた伝説かもしれませんね。
価値観は時代によって人々の心を七変化のごとく変えていくものだから、今の劣等感を悲しむ必要はまったくないし、そうしている時間はもったいない。
いつか必ず才能は開花されるもの・・・と信じたいですね。
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小学校の修学旅行で始めて、洞爺湖に行きました。妻と付き合っていた若かりし頃にも、行きました。湖畔から昭和新山ふもとまで、レンタル自転車でのぼった記憶があります。今では無理(-_-;)。何年か後、子供たちも連れて行きました。中島にも上陸しましたよ。
有珠山の噴火に耐えて、いつまでも素晴らしい景勝地であってほしいです。今度は、孫を連れて来たい。
くにまるさんへ
こんにちは。
くにまるさんにとって洞爺湖は人生を彩る大切な場所ですね。
奥様と子ども達、
今度は是非、お孫さんを連れて洞爺湖に。お土産は木刀かな?